TIDALを契約した話。MQAの挙動など少し

tidal イヤホン・ヘッドフォン

TADAL(タイダル)といえばノルウェーのAspiro(AB)社が開発した購読型の音楽ストリーミング・サービスで、ラッパーのJay-Zが買収したことで一気に知名度をあげたサービスでもあります。現在はPCだけでなくAndroid OSやiOS用アプリも提供されており、特にロスレス配信を行なっているので知っている方も多いのではないでしょうか。

日本では正式にサービスはローンチしていないのですが、実はVPNなどを利用して該当国からサブスクリプションをすれば、あとは同じように音楽ストリーミングを楽しむことができます。

筆者はDAPでAstell & Kern AK70も使っていたりするので、AK70でもストリーミングをしたい、という思いと、実際TIDALってどんなサービス何だろうというところをチェックしたかったので、とりあえず契約してしばらく使ってみました。今まで利用していたストリーミングサービスのSpotifyやApple Musicとも比較してみました。

TIDAL(タイダル)について

TIDALは音楽ストリーミングサービスの中でも、ロスレス・フォーマットでの配信を行なっていることで話題になったサービス。Aspiro社が運営したのですが、ラッパーでは超がつくほど有名なJay-Zがサービスを買収し、一躍有名になったのは記憶に新しいです。

tidal

Tidalの基本プラン:PremiumとHiFi

TIDALで注目なのが、やはりロスレスでより高音質(と言われる)ファイルでのストリーミング配信を行なっているところです。他のストリーミング・サービス同様にファミリープランや学生プランなどいくつかあるのですが、基本になるのは「Tidal Premium(9.99米ドル)」と、「Tidal HiFi(19.99米ドル)」の2つ(Militaryプランなんかも用意されているので、この辺りは海外のストリーミングサービスぽさがあります)。

tidal-hifi

基本プランの「Tidal Premium」はAACフォーマット・320 Kbpsで配信されるのに対し、「Tidal HiFi」ではFLAC/ALACフォーマットにて1,411 Kbps配信されます。例えばストリーミング(多分)最大手のSpotifyは最高音質モードでも320Kbit/sだったりするので、簡単にいうとTidalのHiFiプランではより高音質とされるロスレス・フォーマットとビットレートでストリーミングを楽しめるというのが特長です。ビットレートだけで無理やりいうなら、HiFiプランはCD音質レベルということですね。音質を重視するだけに約20ドルと価格も少し高めに設定されている訳です。

Tidal MastersとMQA(Master Quality Authenticated)

Tidalの配信で注目がもう1つ、それが「TIDAL Masters」の存在です。TIDAL Mastersでは、単純にいうとMQA(Master Quality Authenticated)フォーマットで配信される曲がPCアプリから楽しめます。このTIDAL Mastersを利用するには、Tidal Hi-Fiプランの契約が必要となっています。

現状再生に対応しているのはTidalのデスクトップ・アプリケーションのみで(つまりMacやWindowsのパソコン公式アプリのみ)ですが、意外と”MASTER”や”M”と表示される曲も多いです。もちろん全ての曲がMQA配信されている訳ではないようですが、”Master Quality Audio Albums/Playlists”なんかも公開されているので結構面白いです。

(※例外的にMQAデコードをサポートしているAndroidスマホのLG V30なんかは、TIDAL Masters音源の再生に対応しているらしいです。最新LGスマホはESSのDACをクアッド搭載していたり、音質面でも一台で楽しめるスマホとして注目を集めてます。最近はEssenital PhoneもMQA対応しました。)

Tidal MastersのMQA配信は96 kHz / 24 bit(これは”基本”ということで、必ずしも96 kHz / 24 bitではないみたいです。Mojoでサンプル周波数LEDを確認してみると、Master表示でありながら48kHzらしきものもありました)だそうで、これはハイレゾ音源の定義からするとハイレゾ音源でのストリーミング配信ということになります。

「Tidal Masters」を使う条件はHi-Fiプランに加入のみですが、19.99米ドル/月を支払えばいくつかあるMaster対応曲を聴けるので、そう考えるとコストパフォーマンスは意外と良いような気はしてきますし、しかしながらPCでMQA自体をがっつり楽しむならMQA対応のDACアンプを用意する必要があったりするらしいのでそのあたりも考えておく必要はありそうです(デコード関連の話もあるので)。

色々試して説明も読んだところ、MQA非対応のDACの場合は、

  • ON:Use Exclusive Mode
  • OFF:Passthrough MQA

の設定をしておくと、Tidalアプリ側でソフトウェアによるデコードを行ったのち、USBデジタル信号で送れるみたいです。例えばChord Mojoで試した時にはこれ以外の設定だとサンプル周波数目安のLED表示が常時44kHz以下を示すレッドだったりしたので、Passthorough MQAをONにしても音は流れますが、正しく(という表現が正しいかはわかりませんが)ファイルをデコードできていないか、もしくはダウンコンバートな感じになるようです。ただ接続機器にもよる可能性があるので、そのあたりの詳しいことはわかりません。

tidal-usb-mojo-non-support-mqa-devices

MQA非対応のDACアンプに繋いだ時

mojo-96-khz-tho-tidal

96kHz/24bit記載のあるTidal内の音源を上記設定で再生してみると、96kHzの目安となる緑のLEDが表示されました。ただしMasterもしくはM表記がある曲でも、96kHzではなく48kHzあたりと思われるものもいくつかありました。

MQA音源に対応したDACアンプ側でデコードしたい時は、設定から「Passthrouth MQA」の項目にチェックを入れると、DACアンプ側でMQAフォーマットのファイルをデコードする仕組みになっているようです。

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つまりTIDALのソフトウェア側でデコードするのか、USBから出力してMQA対応のDACアンプ側でデコードするのか、どちらか選べるということらしいです。まあとりあえずTIDAL側でデコードさえしてしまえばこういったアンプでも高ビットレートで聴けるようなので、特に問題はありません(MQA対応アンプ側でデコードするとまた変わってくるとは思うのですが、今回は試せてません)。

…MQA配信と出力に関する話は長くなりそうなのでまた別記事で試す時間があれば紹介してみたいと思いますが、とにかくTidalではMQAで高音質ストリーミング配信を行なっている、というのがサービスの特徴です。肝心の音は普通に良いのですが、こればかりは聴いていただかないとわからないと思うので、気になる方は無料期間もあるので契約してみると良いかもしれません(契約する場合は、日本で正式ローンチはしていないのでVPNなど利用して申し込む必要があります)。

日本ですでにサービス開始しているHiFiストリーミングサービスといえばDEEZERがMQA音源で配信していたりしますが、対象国から、もしくはVPNなどを利用してしまえば日本からでも契約が可能なTidalも面白い存在ですね。数年後はMQAもしくはハイレゾ級のファイルフォーマットで配信されるサービスが多くなる未来が来そうな気はしますが、とりあえず今の所はTidalなんかが有力候補であることは間違いありません。

Tidalのストリーミングで良いところといえば、アイリバー・Astell & KernブランドのDAPのいくつかがTidalでの再生に対応しているところです。例えばAK70なんかは対応していますし、比較的新しいDAPだとほとんど対応していますね。

astell-and-kern-ak70-review-8

ただしAK70の場合は2018年8月時点でTidalのオフライン再生には対応しておらず、Head-fiの掲示板なんかを見ると「レコードレーベルとのあれこれで非対応」という情報があるのですが、この話が本当かどうかは別として、とりあえずAK DAPではTidalのオフライン再生ができないということになっています。これは少し勿体無いですよね。

例えばiOSアプリやAndroidアプリならオフライン再生できるので。AK70も確かOSはAndroidベースなので使う前はできるのかなとは思っていたのですが、AK70はあくまでサードパーティー製の端末ということになりオフラインで再生できないみたいです、今のところ。…Astell&Kernは新モデルのいくつかであればDeezer Hi-Fiに対応しているそうなので、そのうち高音質配信を謳うストリーミングサービスが使えるDAPというのは増えるのかもしれません。

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…Astell & Kernの製品に限らなければAndroid OSを搭載したDAPといえばFiiO X7やパイオニアXDP-300Rなど多くあるので、この辺りならアプリ要件さえ満たしていればオフライン再生も可能です。ただTIDAL MastersのMQA音源はデスクトップアプリのみで対応しているので、モバイルデバイスでSpotifyやAmazon Music、Apple Musicなど比較して格段に高音質の音源で聴けるか?というのはまた別の話になるのですが。

fiio-x7

ですので個人的にTidalというと「PCならMQA音源でストリーミングできる音楽サービス」な印象を持っているのでモバイルデバイスだけで利用するならSpotifyやApple Musicで良いと思うのですが、Tidalも契約していればPCだけでなくマルチデバイスで使えるわけで、PCでもストリーミングを利用するなら面白い選択肢だと思います。Androidなら国変更も簡単なのでTidalアプリもサクッと入れることができますし。


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結果的に、日本で正式にサービスをローンチしているSpotifyやApple Musicなんかと比較すると、全てのデバイスにセットアップするのがかなり面倒です。…そんなこんなで、使うまで、もしくは使い始めてからのデメリットや使い辛さはありました。わざわざこんなことをしてまでTidalを使いたいかというと、個人的には現状ストリーミングならSpotifyやApple Musicで良いんじゃないかと思う部分もあります。

…最近のTidalに関するニュースを見ていると日本でのローンチもなさそうと言いますか、それどころではないニュースがたくさんあるので、まだ国内には来ないだろうなと勝手に予想しています。米国ではApple Musicが最近は強いと聞きますし、ストリーミングの使いやすさなら圧倒的にSpotifyと思っているので、今後日本での正式展開がない限り、TIDALを使い続けることはないだろうなという気はしています。

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