【レビュー】スーパーニッカ、ジャパニーズ・ウイスキー

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ニッカウヰスキーが発売し、現在はアサヒビールが販売するウイスキー「スーパーニッカ(Super Nikka)」のレビュー。1962年に開発・登場したもので、現在復刻はしているものの、発売当初のブレンドとは異なるそうです。

筆者はもともとスコッチが好きで、ニッカも余市蒸留所をはじめスモーキーな製品が低価格のジャパニーズウイスキーにもあります。このスーパーニッカも、華やかなピートが香りつつも(おそらく)日本人向けにアレンジされた興味深い味わいで、コンビニで低価格のウイスキーのみが陳列されている場合、ジョニーウォーカー・レッドラベルと迷ったりもする製品です。

アルコールのアタック感も少しあるので普段手にとることは少ないですが、メロウなバニラ、ハニー、ピートの香りが心地よいウイスキーなので、個人的に感じたことなどをメモしておきます。

※20歳未満の未成年者の飲酒は法律で禁止されています。また本記事は、読者に飲酒を勧めるものではなく、飲み比べを勧めるものでもありません。

スーパーニッカ、ブレンデッドウイスキー

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スーパーニッカは、ニッカウヰスキーから1962年に登場した、ジャパニーズ・ウイスキーです。アルコール度数は43%で、モルト・グレーンのブレンデッド・ウイスキー。

このブランドは竹鶴政孝が妻リタの死後、彼女に捧げるため息子の竹鶴威と開発したウイスキーと言われています。ニッカウヰスキーのストーリーについては以前から知っている方も多いと思いますが、”事実に基づいたフィクション”の朝ドラ「マッサン」でウイスキーを飲んでいなかった人にも知名度が高まったような気がします。私自身も、当時たまたま日本にいたのでリアルタイムで観ていました。

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このスーパーニッカは1962年に販売が開始していますが、2019年現在販売されているブレンドは、余市のライトピートモルトだけでなく、宮城峡のモルト、カフェグレーンなどがブレンドされています。スーパーニッカが登場した1962年時点では宮城峡蒸留所はまだ存在していませんから、発売当初とは当然ブレンドが異なると言われています。(ちなみに筆者、初期ブレンドや復刻版は飲んだことがありません)60年代発売当時のブレンドは、大卒初任給の1/5程度で売られていたと言いますから、今の初任給を勝手に20万円とすると、4万円程度となかなかプレミアムなウイスキーです。

現在はアサヒビールの参考小売価格が2,500円(700mlボトル)、そこそこ手頃な値段で飲めるジャパニーズ・ウイスキーとしては、価格も安いのも特徴かもしれません。

テイスティングノート

価格的にサントリー・ローヤルと比較されることも多い気がしますが(誕生した時期も近いですし)、根本的に異なります。まずはピートの香りで、さすが余市蒸留所からのブレンドが含まれているせいか、スーパーニッカはほのかにピーティです。

ただし”余市のライトピートモルト”をブレンドと紹介されており、例えば全くピートの香りがしないローヤルと比較すると真っ先にピートに気付きますが、ジョニー・ウォーカーの赤ラベルと比べるとピート臭は少ないですし、アイランズの熟成年数が長いスコッチを飲んだ時のようないつまでも残るピートのスモーキーな余韻は、スーパーニッカからは感じません。

グラスからはハニー、ピートを感じさせ、バニラ・ウッディさもいくらかあり、全体的にメロウな雰囲気、味となっています。滑らかな口当たりで甘さと飲みやすい感触がありますが、芳醇さやオイリーな喉への通り・舌触りといった感覚はほとんどありません。飲み口もどっしりとした重さがなく、さっぱりした印象を覚えるのも面白いところです。

ツンとアルコールが鼻・口にヒットするのも、さっぱりした印象を与える部分でしょうか。一般的には物理的な水・アルコール分子の現象やカスク材によって長期熟成でよりまろやかな口当たりなる(とかならないとか)言いますが、これがスーパーニッカからは感じ取れません。

ウイスキーもブランド、製品ごとに目指すものや受け継いできたテイストというものがあると思いますが、スーパーニッカの3000円以下という現在の価格を考えると、日本市場で受けいれられ易い方向性とブレンドは、やはり日本のウイスキーとして、独特なものを感じました。広義としてはこれがジャパニーズ・ウイスキーということもできそうですが、まあメーカー・製品によってピーティーなものからそうでないものまでたくさんありますし、価格もそれぞれなので、一言に”Japanese Whisk(e)y”といっても、奥が深いです。

最近3000円程度までのウイスキーというのをどんなものか再確認していて、面白いというか、分かりやすい部分も見えてきました。最近買った廉価なブレンデッド・ウイスキーでいうとジョニーウォーカー 赤ラベル、サントリー ローヤル、ジャックダニエル(Old No.7)などがあるのですが、

  • スーパーニッカ:少しのピート、メロウな甘さ
  • サントリー ローヤル:ウッディな香りと甘さ、ピート臭はなし
  • ジョニーウォーカー 赤ラベル:スコットランドらしい適度なスモーキネスと、柑橘系のリフレッシングな香り
  • ジャックダニエル(Old No.7):バナナのような甘い香りと、独特の酸味

上記が個人的なそれぞれのウイスキーの感想で、大枠でみればスコットランドのジョニ赤が最もスモーキーですし(ただしスコッチ全体でみると必ずしもスモーキーとは言えない)、余市蒸留所をはじめとした”本格スコッチ派(歴史的にみると)”の流れを組むニッカのスーパーニッカはほのかにピートの香りを醸しつつ、日本人向けに抑える部分は抑えてブレンドされています。

同じジャパニーズ・ウイスキーでも、サントリー ローヤルにスモーキーさは一切感じられず、メロウな甘さとウッディな香りのみが漂ってきます(ちなみにローヤルは、もっとパイナップル、的、ドライフルーツ的な独特な甘さがウッディな香りと混じって入ってきます)。またアメリカンウイスキーであるジャックダニエルは、テネシーウイスキーやバーボンに代表されるような(おそらくコーン由来の)甘い香りに加えて、Old No.7の独特な酸味がスパッと入ってきます。

低価格なウイスキーのラインナップを比較してもこれだけ感じ方に差が出てくるので、やはりそれぞれのお酒の土地柄、歩んできた歴史があるのだと実感する部分はあります。個人的にはピートのスモーキーな香りを好むので(スコッチ・アイランズ)、好みだけの話をすると、やはりこの中ではジョニーウォーカーかスーパーニッカかなという感じはしています。ただジャックダニエルもシングルバレルやゴールドはOld No.7とはまた別物なので、もっと細分化すると、例えば「スコッチが好きだけど、アメリカンのウイスキーの中ではゴールドNo.27が好き」なんてことも言ってしまいそうです。

海外でウイスキー好きの友人と話をしていても、ある程度ジャパニーズウイスキーというのは気にかけているジャンルのようです。またこれが、それぞれの国・土地柄に代表されるようなスコッチ、アイリッシュ、アメリカン(カナディアン)のどれとも似ているようで似ていない、と言えてしまうのは、日本のウイスキーの歴史自体が興味深いものなのだなと実感しています。もちろん今回のスーパーニッカは今となっては廉価なのですが、それでも「これはジャパニーズウイスキーか?」と聞かれたら、ニッカと余市蒸留所の流れを組んだジャパニーズウイスキーです、と自信を持って言えるはずです。

個人的には少し価格をプラスしてタリスカー10年なんかを買った方がハッピーではあるのですが、ではどんな方にスーパーニッカをおすすめできそうかというと、例えば「ピートの香りは欲しいけど、スコッチはスモーキー過ぎる」とか、バランスのとれたウッディな甘さを求めるなら、予算内では良い選択肢でもありそうです。日本の同じ価格のウイスキーと比較すると個人的には好きなウイスキーがスーパーニッカなので、これを入り口にジャパニーズ・ウイスキーの世界に入り込むのも面白そうですね。