【レビュー】SONY MDR-Z7M2、密閉型ヘッドフォン。LIVE音源が良い

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ソニーのステレオヘッドフォン「SONY MDR-Z7M2」を購入したので、レビューをしていきます。MDR-Z7の後継モデルに当たる製品で、シリーズの世代としては2代目のヘッドフォン。

発売時点では8万円を超えていましたが、すでに価格は6万円以下まで下がっています。音質も初代MDR-Z7にあった独特のクセが薄れてバランスや定位感が改善されており、個人的には正統進化を感じる製品。MDR-1A→1AM2への変化も同じようなところがあったのでSONY全体でこういう傾向なのかなとも思ったのですが、いくつか気に入った点や気になった点をメモしておきます。

SONY MDR-Z7M2 レビュー

SONY MDR-Z7M2は、2018年10月に日本で発売したヘッドフォン。オーバーヘッドの(大枠としては)密閉型で、MDR-Z7の後継モデルとして発売されました。つまりMDR-Z7M2は、モデル名からも分かる通り、Z7シリーズ2代目の製品です。

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ワイヤレス製品のWH-1000XM3やモニター向けのCD-900ST・7506を除けば、SONYのHi-Fi向けヘッドフォンといえば最上位にMDR-Z1/Z1R、次にMDR-Z7/Z7M2、ポータブル向けにMDR-1A/1AM2があります。上位モデルのMDR-Z1Rは公式価格が20万円超えですから、そうなるとAmazon.co.jpなんかでも新品がすでに6万円弱で買えるMDR-Z7M2というのは、意外と手頃な気がしてきます。

まずはデザイン。初代MDR-Z7ではハンガー部分がシルバーカラーでしたが、MDR-Z7M2はブラックカラーで全体をまとめています。他のSONY製ヘッドフォンも同じですが、最近のカラーリングは一色に統一した外観というのが路線みたいです。カラフルなh.earシリーズも同様ですね。

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全体を黒にまとめたカラーリングでありながらパーツによって微妙に質感が違ったりして、例えばハウジング外側はマットながら若干ざらついたような質感が採用されています。ヘッドバンドのレザーなど、やはりMDR-Z7M2はSONYヘッドフォンの中でも高級路線であることを実感させるデザインとなっています。

ケーブル

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左右両だしのケーブルで、シングルエンド用3.5mm端子のケーブル(3.0m)×1、4.4mm5極端子のバランス用ケーブル(1.2m)×1が付属。リケーブルも可能で、別売りでKIMBER KABLE社のコラボケーブルも販売されています。

SONY系DAPの最新製品はどれも4.4mm5極端子にジャックが移行しているので、オーディオプレーヤーもSONYで固めている方は扱い易そうです。個人的には.長さの異なる3.5mm端子ケーブルを付属して欲しかったのですが、パッケージ付属品にバランスケーブルが付属している時点で文句は言えません。

そういえば初代MDR-Z7の時は3.5mm×2のバランスケーブルもありましたが、それらもPHA-3やTA-ZH1ESがあれば使えます。TA-ZH1ESなんかは過去・現在のバランス端子に対応するために、4.4mmバランス端子、XLR4ピンバランス端子、3.5mm×2バランス端子を全て搭載してしまっていますが、SONYとしてはバランスは4.4mm5極の流れっぽいですよね。どうなんでしょう。

MDR-Z7M2 装着感・フィッティング・側圧

初代MDR-Z7と比較すると、シリーズ2代目のMDR-Z7M2は装着感が良くなりました。少なくとも筆者の耳には、という話ですが、全体的な見た目や重さは変わっていないにもかかわらず(むしろ重くなっているのですが)、長時間音楽を聴いていてもなかなか快適です。

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立体縫製で圧を分散させる「エルゴノミック立体縫製イヤーパッド」や、内側に倒れこむような構造で耳を包み込む「エンフォールディングストラクチャー」と言った設計上のキーワードのようなものは初代MDR-Z7でもありましたが、インタビューを読むと、MDR-Z7M2ではイヤーパッドの肌に当たる部分の素材を変更したり、ヘッドバンドの形状を変えたり、エンフォールディングストラクチャーの構造を見直したりと、色々変更されたようですね。装着感もつける人次第ですが、個人的には随分快適になったと思いました。

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一方で重量はMDR-Z7が335g、後継のMDR-Z7M2が340gと、根本的な質量というのは実はほんの少し重くなっています。サイズからすれば快適なヘッドフォンですが、やはり数時間着けていると少し疲れます。ただし、MDR-Z7との比較で考えると、かなり改善されていると感じます。

ポータブル利用を考える

ポートもあり遮音性や音漏れを心配していましたが、悪くないです。定位や独特の広さがカフェくらいの騒音であれば問題なく楽しめるとあって、実は外出先に持ち出すことが何回かありました。ただし、いくつか気になる点も。

ポータブル利用として、まずはMDR-Z7M2のサイズ感が少々問題です。オーバーヘッド型のヘッドフォンとしてはフルサイズとも言える大きさかつ、ポータブルヘッドフォンのように折りたたみもできないので、バッグにしまうのも一苦労です。

そのため外出先で利用する場合は帰ってくるまで基本頭に付けっ放しですが、例えばカフェで3時間くらい装着しっぱなしの状態だと、流石に340gの重さが徐々に辛くなってきます。

また3極の通常ケーブル長が3mなので、付属品のみだとケーブルもポータブル利用にはあまり向きません(1.2mケーブルを買い足すのが余計な出費です)。ただMDR-Z7M2は付属しているもう一つの4.4mm5極バランスケーブル長が1.2mなので、4.4mm5極のバランス端子に対応したジャックを搭載しているNW-WM1Z、NW-WM1A、NW-ZX300などを持っていればポータブル利用は少し楽かもしれませんね。もしくはFiiO X7とアンプモジュールなど。

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(4.4mm5極バランスケーブルが付属しているので、NW-ZX300があればバランス出力できます)

もちろん筐体サイズなど全体の設計を含めてこの音質なので文句をいうことはできませんが、遮音性が悪くないだけに、300g程度まで軽くなればなあと。MDR-Z7M2はほとんどの場合でホームユースと想定していますが、定位が”ハマる”方は、密閉型ですし外で使いたくなるんじゃないかと思います。

70mmドライバー、フィボナッチパターングリル、ビートレスポンスコントロール

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(通気孔は底にも搭載)

ドライバーサイズは大口径70mmの振動板を採用していますが、MDR-Z7M2では内部設計を含めて色々変更したそうです。

具体的にはドームを大型化したり、グリル部分にはフィボナッチパターングリルが採用されていたり、ハウジングのポート(通気孔)位置やデザインが変わっていたり。ドライバーユニットの分解図を見る限り、他の部分も色々変更されています。マグネットもSONY社製ヘッドフォンとしては最大級のものを搭載。

70mmドライバーというだけでもかなり珍しいのですが、いくつかの部分で上位モデルのMDR-Z1Rの設計をMDR-Z7M2にも反映しているようです。

SONY MDR-Z7M2の音質

  • SONY MDR-Z7M2
  • Marantz HD-DAC1 シングルエンド出力

今回の試聴では、Marantz HD-DAC1からシングルエンドでSONY MDR-Z7M2へ繋いで聴いてみました。マランツのHD-DAC1はバランス端子を搭載していないのですが、価格が下がったところで購入し、最近とても気に入っている据え置きDACアンプです。

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MDR-Z7M2は感度98dB/mW、インピーダンス56Ω(1kHz)と仕様も変更されているのですが、初代MDR-Z7と鳴らし易さはほとんど変わらない気がします。今回のMarantz HD-DAC1ではゲインMidで十分過ぎるくらいでしたし、FiiO M9のハイゲイン設定でも良い感じに鳴っています(ただし、音は流石にHD-DAC1のほうが良かったです)。

まずは初代MDR-Z7との比較ですが、トランポリンで弾むような独特の低域感がMDR-Z7M2では心地良いものに変わっています。またこの部分が初代Z7では他の帯域を邪魔していたような気もしたのですが、全体的なバランスとしてもZ7M2の方が好みでした。

密閉型でありながら空間表現の広さというのは初代MDR-Z7から引き継いでいるのですが、定位も心地良いものになっていました。これがSONYが言うところの空気感の演出なのかなと思うのですが、ロックのLIVE音源が非常に良いです。

GO!GO!7188の(事実上のラストライブ)アルバム「ラストライブ オブ ゴー!ゴー! ~“Go!!GO!GO!Go!!Tour” Live 8.7.2010」の「浮舟」は、所持しているヘッドフォンではMDR-Z7M2が一番良いんじゃないかと思うほど。バンド晩年のLIVE音源ですし、このライブアルバムに収録の浮舟は異次元にかっこいいのですが、AKG Q712よりもMDR-Z7M2をおすすめしたいです。

ドラムの力強さも感じることができるのでやはり低域部分がMDR-Z7M2の特徴かと思いますが、中高域も綺麗な解像度です。開放型のHD700やQ712と比較すると全体的な印象は少し暗めに感じます。あくまでヘッドフォンの空間の中でうまく空気感を演出し、その中で高域も中域も主張があるような印象。

ただ低域の表現力がこのヘッドフォンの1番の魅力には感じますし、結論MDR-Z7からへMDR-Z7M2で、コンセプトは受け継ぎながらも音質的な変更はかなりあったみたいですね。

密閉型なのにヘッドフォン内にそこそこ広い音像があり、かつ開放型っぽくはない」のが面白いところで、一部音が密集しているような、やっぱり密閉型らしい部分も感じられます(開放型、例えばHD700はヘッドフォンの外に抜けていくような感覚もあるのですが、MDR-Z7M2はあくまでヘッドフォンの中で空気感と距離感で音像を演出しているような感覚です)。

空気感よりも解像度や抜けの良さを重視するならSennheiser HD700の方が良さげですし、つまるところ聴く曲次第。低域の力強さがあるので、1990年代から2000年代へかけてのR&Bも良かったり。

毎回「自宅ヘッドフォンはお気に入りの開放型が1つあれば良いじゃないか」と思う時も(予算の面も含めて)ふとあるのですが、SONY MDR-Z7M2で特定のライブ音源を聴いた時の”この曲はこのヘッドフォンで聴きたい”感覚は捨てきれないもので、ちょっと小さな仮想リスニングルームがヘッドフォン1つで手に入るみたいな部分もありますし、使いどころが多く嬉しかったりもします。

MDR-1AM2もMDR-Z7M2も音の傾向としては(SONYぽいところは残りつつも)どちらもかなり変わっており、良い進化だと思います。特にMDR-Z7M2はエントリーモデルのMDR-1AM2にはない空間表現力が魅力なので、ぜひ試してみてほしいところです。