【レビュー】Marantz HD-DAC1 ヘッドフォンアンプ

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Marantzブランドから販売されている据え置き型のヘッドフォンアンプ「Marantz HD-DAC1」を購入したので、実機をレビューしていきたいと思います。

マランツといえばスピーカー向けのアンプやCDプレーヤーが現在の主な製品群ですが、HD-DAC1はその中に初のヘッドフォンアンプとして登場しました。発売日が2014年なので少し古いモデルではありますが、当時10万円前後だった価格は、レビュー時点で6万円程度に値下がりしています。

バランス端子を搭載していないなどユーザーによっては気になりそうな点もいくつかありますが、個人的におすすめのヘッドフォンアンプなのでメモしておきます。

Marantz HD-DAC1 レビュー

Marantz HD-DAC1は、2014年に登場したマランツ製のヘッドフォンアンプ。マランツとしては初めて登場したヘッドフォン向けDAC/アンプがこのHD-DAC1で、以降2019年前半まで、後継となる製品は発表されていません。

バランス出力用の端子を搭載していない、かつ2014年発売なのでそろそろ後継の新製品が出ても良いのかなと予想はしているのですが、HD-DAC1は発売当初の価格から値下がりがあり手頃に入手できたので、購入してみました。

全体に金属ボディ、サイドは少し光沢のある木目デザインが採用されており、落ち着いた外観でありながら高級感も(ただ、木目はプラスチックに印刷したものだそうです)。最近はゲーミング用デスクトップPCのおかげでRGBライトがギラギラしているのであまり個人的な部屋環境にはマッチしないのですが、製品単体でみれば好みのデザインではあります。

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フロントに電源ボタン、モード切替ボタンとメニューローテーションノブ、ボリュームノブ、ヘッドフォン端子(6.3mm)×1、iPhone/iPod/iPad用のUSB Aポート×1を配置。iPhoneに付属のライトニングケーブルで接続して、気軽にSpotifyやApple Musicなどスマホ内の音源を聴けるのも便利です。

右に配置されている音量調整ノブは少し重めな設計になっており、個人的にはこのくらいで良いかなと思いました。HD-DAC1はなかなかパワーもあるので、例えばSennheiser HD700であれLow、Midのゲイン設定でも十分過ぎるくらいで、AKG Q701なども試してみましたが、Mid設定で足りているような気がしました。低めの位置で事足りたので大きくボリュームノブを回す機会もなく(まあ、曲やヘッドフォンの変更によってはあるのですが)軽すぎるノブより個人的には好みです。

後ろにはWindows PCやMacと接続するUSB Bポート×1(ケーブル付属)、同軸デジタル×1、光デジタル×2、アナログ 3.5mmステレオミニ入力端子×1、アナログ出力(固定/可変)、マランツリモートパス(RC-5)×1を配置。スピーカーなどで利用したい時には、別途アンプが必要です。筆者の利用環境では基本PCに接続なので、USB Bポートと付属ケーブルで接続しています。

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入力ソースはフロントのメニュー操作やリモコンから変更できるので、例えばいつもはPCに接続している状態でも、さっとフロントのUSB-AポートにiPhoneを接続して音楽を聴いたりできます。曲によっては個別にCDシングル/アルバムやデジタル購入での音源を持っておらずストリーミングのみで聴いているものもあるので、フロントから気軽にiPhoneと接続できるのは便利です。ちなみにスマホはiPhone XS Maxですが、今のところ一度も問題なく使えています。

PC利用ですが、Windows OS向けにはドライバーが用意されており、MacOSの場合はそのままUSBを接続するだけです。オーディオ設定ではどちらも192Hz/24bit設定が推奨されています。ちなみにUSB-DAC(背面Bポート入力)としては5.6MHz DSDネイティブ再生、192kHz/24bit PCMに対応しています。※MacOSの場合はDoPによるDSD再生

DACは「Cirrus Logic CS4398」、マランツ独自のアンプモジュール「HDAM-SA2」を使用したフルディスクリートの電流帰還型アンプ、無帰還型バッファーアンプを実装。開発段階でサイズや価格設定の制限もあり、部品の構成を考えるとヘッドフォン出力は音質を考えてシングルエンドのみに絞ったそうです。

こうなるとHD-DAC1の後継モデルが出るならどうなるんだ、同じサイズ感におさめることができるのか、という疑問もあるのですが。HD-DAC1が5年経っても後継機が出ずに販売されていることを考えると、それだけ現在の価格に対して完成度の高い製品ということなのかもしれません。PCのベンチマークなんかと違って、聴いて良いかどうか、好きかどうかですし、オーディオ製品には発売から年数が過ぎても良いものは沢山あるので、そういった意味では現行の製品で価格と音質に満足できれば個人的には良いので。

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ヘッドフォンの駆動に関しては現在利用しているSennheiser HD700やAKG Q701もドライブできているような気がしており、価格帯が少し下になるDENON DA-300USBなどと比較するとやはり駆動力に余裕があります。若干ウォームな傾向に解像度が付いてくる感覚で、かつ空間表現も見通しが良く聴こえます。発売当初は10万円だったのであれですが、現在は6万円程度で買えてしまうので、デスクトップがメイン利用かつヘッドフォンアンプに機能を絞るなら良い選択肢に感じました。用途や置き場所にもよるのですが5万円以下のもっと小型な据え置きアンプになるとパワー不足や解像度などどこかしら気になる部分が出てくることが多かったですし、ポータブルアンプになるとサイズの制約もあるのか価格に対して据え置きほど満足できたことがないですし。そんな中で6万円でこれだけ鳴らせることを考えれば、据え置き利用のみに限定すれば迷わず購入な駆動力と音質に感じ、もちろん、試聴したうえでそれらはある程度確認した上で購入したので当然といえば当然の感想なのですが。

再生音源はチリヌルヲワカ「カスガイ」、ノラ・ジョーンズ「It Was You」、Foals「Spanish Sahara」など。Spanish Saharaは英ドラマMisfitsやスクエニのLife is Strangeでも使われており(バージョンは違う)好きな曲の1つですが、ボーカルはキツくならずに透き通った表情で、すっと素直に入ってくるのですがつまらなさはなく、いくらか演出もあるように感じます。おそらくHD-DAC1自体の駆動力に余裕がある部分が肝なのだと思いますが、これはあくまで予想であって、なぜこのような音質になるのかは正直分かりません。ただ別のヘッドフォンアンプに繋いで色々試してみると、やっぱり駆動力のところなのかなという気がしています。物足りなさを感じさせない絶妙なバランス感といいますか、そんな感覚です。

最近ポータブル環境に偏っていたので久しぶりの据え置きヘッドフォンアンプ購入でしたが、ほとんどの部分で満足しており、価格と音質を考えれば良い買い物だったと思います。