少し出遅れましたが、LZ(老忠)の中華イヤホン「LZ-A4」を購入したので、試してみます。2基のバランスド・アーマチュアドライバー(BA)と1基のダイナミック・ドライバーを搭載した所謂ハイブリッドのカナル型イヤホンで、2つのフィルターによって音の変化が計18種類楽しめるという面白いイヤホンでもあります。
イヤホンの外側に通気孔があるため大げさにいうとオープン型ヘッドフォンのような開放感が得られるというのも特徴の一つ(まあこれは流石に言い過ぎですが)で、その反面音漏れは当然あるので人は選ぶイヤホンかと。200時間ほど聴いてみたところで、レビューをまとめておきます。
LZ-A4 レビュー
今回はAmazon.co.jpで「LZ-A4」を購入しました。前から他の方のレビューなどをみて気になっていたイヤホンで、ハイブリッド型でありながら流石の中華イヤホンな価格(2万~2万5000円程度)と、本体外型にベントが設けられているので、音の広がりや開放感がこの価格ではすごいという声が多かったイヤホンです。
当然通気の穴があるので、音漏れは結構あります。隣に人がいると、小音量でない限り聞こえてしまうくらいの音漏れなので、外で利用する際には場所を選ぶイヤホンかと思いますし、ベントを塞ぐという手もありますが、それだとLZ-A4特有の開放感がなくなるので、音漏れOKな場所や環境での利用専用かなという感じ。最近はヘッドフォンでも長時間使ってると流石に疲れるなという気がしたので、室内用、そしてイヤホンでも相当の開放感が得られることを期待しての購入です。
音質を変化させるという部分でも一工夫があり、ノズル型と本体外側のフィルターを交換することで、好みの音に変えて音楽が聴けるという特徴も。これってかなり珍しいと思うのですが、確かに音は変わりますね。ただフィルターを曲によって変えるのも持ち運びも含めて面倒だなという気はするので(フィルター小さいのでなくしそうですし)、お好みのフィルターをつけてあとは曲によってイコライザーで…といったところでしょうか。
MMCX端子を採用しており、リケーブルもOK。今回は標準ケーブルで鳴らしてレビューしていきますが、この黒ケーブルはそこそこに柔らかいので取り回しは良いと思います。イヤホンもハイブリッドでならこれくらいの大きさかなという感じがします。イヤーピースは多くの種類が付属しており、またケースも付属。ケースは結構大きめのものかと思うので、必要であればフィルターを持ち運んでも良いかと思いますね。なくしそうなので持ち運びませんが。
デザイン的には…意見がわかれると思いますが、個人的にはダサいと思います。フィルター以外はプラっぽい素材が多いですし、フィルターもカラーがそれぞれ異なるので、好みの音にフィルターを変えた時に色が好みにならなかったりとか…。多彩な音で魅せるイヤホンなのですが、見た目的にはどうなんだろうという感じはしますよね。後継モデルのLZ-A5も商品ページでみたらデザインは微妙かな~なんて思ったので、まあこれはもうどうにもならないんですが。
カナル型で普通につけることもできますし、SHURE掛けもできるかと思います。ただ通常の装着で自身の耳にあまりフィットせずポロポロ滑り落ちてしまうことが多かったので、個人的には常時SHURE掛けかなと。ケーブルへのタッチノイズも若干回避できますし。
そんなわけで、フィルター変更やベントががっつりある中華イヤホンということで、面白い存在かなと思います。最近Finalから内部の調整フィルターを交換するだけで好みの音が作れるMakeというプロジェクトもMakuake経由で登場しましたが、LZ-A4に関してはネジを開ける必要もないですし、簡単に色んな音が楽しめるところでも興味深いですね。
開放感と音漏れのトレードオフ
今回はFiio X5 3rd直挿し、付属ケーブルなので3.5mmアンバランス接続で聴いてみました。
まず感じるのは、カナル型イヤホンとしては良い開放感でしょうか。これはイヤホン外側にベントを設けているのが理由かと思いますが、広がりがあり、ここは他の方がレビューしている内容もほとんど信頼しても良いのではないかと思える音でした。空間の中に余韻が少し残る感覚に加えて抜けが良く、刺さりにくくもあるので、静かな場所で音量をそこまで上げずに聴くのがとても心地よいです。
そのせいか、キラキラ感というのはあまりなく、高域でも余韻を残しつつスッと消えていくような感覚です。アコースティックギターと女性ボーカルのみの曲なんかはすごく良いですね。ただ女性ボーカルは少し遠目、男性ボーカルは少しぼやける気がしており、アタック感とかメリハリといった分かりやすさなんかはあまりないような感じなので、キラキラ系のボーカルが張ったアニソンとかはどうなんだろうという気がしますね。あんまり合わないような。Fiio X5 3rdで少し物足りなさを感じたので、確かにフィルター変更で音は変わりますが、分かり易さが欲しい少し激しめのロック曲には意外と合わないのかななんて思いました。これはこれで良いのですが、レビューではロック系も良いといくつかみてから購入したので、それは期待とは少し違った部分ですかね。
低域もフィルター変更で結構出るようになりますが、締まった音というより、デロッとやわめの低音な感触。で、いくつかフィルターを試してみましたが、レッド利用で低域重視な組み合わせでもボンボン出るような感覚は期待しないほうが良いかもですね。個人的にはブルー×ブルーが好きかなあ。元々個人的な聴く曲と感覚というのが「低域は締まってキレがあって、量感があれば良い」という好みもあるので、そういった意味では購入前に開放感がありつつもキレのあるベイヤーダイナミック的な音を頭の中でイメージしていたので(期待し過ぎてたかな)、多分一般的にいうと「この価格で開放感がすごくて音も良い」というところはすごく伝わるのですが、個人的な好みを考えるとちょっと芯を外しているというか、そういうことなのでしょう。
需要はありそう
(良いところ)
- カナル型とは思えない開放感、音抜け、刺さらない
- フィルター変更で音を変えれる
(普通なところ)
- 立体感
- フィット感
- ケーブルタッチノイズ
(ダメなところ)
- 見た目
- 遮音性・音漏れ性能
- 女性ボーカルの歪み?男性ボーカルの霧が晴れない感じ?
LZ-A4の良いところはカナル型ではちょっとおかしいくらいの音の広がりと、抜けの良さでしょうね。音源がマッチするととても聴きやすくて、のんびり日光浴したい気持ちになります。フィルターで音を変えれるのも面白いですが、個人的にはすでに言ったように持ち運びが面倒なので、ブルー×ブルーの常時利用であとは必要であればイコライザーかなあというところ。
開放感はすごいですが、立体感と言われるとそうでもなくて、多分メリハリの効いた分かり易さが少ないのが原因かなと思ったり。フィット感もイヤホン本体が耳にびっしりついてずれないというSHURE的な感覚でもないので、可もなく不可もなく。ケーブルのタッチノイズはそこそこ気になるかなという気がするので、SHURE掛けが必要かなと思うのと、COMPLYなどフォーム系のイヤーピース・イヤーチップは開放感が台無しになるので、基本シリコン系のものが合いますかね。
見た目は好みの問題なので置いておくとして、開放感のサウンドと、遮音性や音漏れはトレードオフの関係です。あんまり外で使えそうだなという感じがしていなくて、要因としてはボーカルのメリハリに分かり易さがないので、音源によっては外で音量をあげないときつい=音漏れもとんでもないという感じになり、なかなか電車の中や、人が周りにいるカフェなど、外出先で利用するイメージが湧いてこないです。
ということで、他の方は気にならないかもしれないけど個人的に気になるというところはあって好みの的を少しずらした感覚があったので、常用イヤホンとしては「んー…」という感じがしてならないです。解像度とか開放感はこの価格帯ではすごく良いと思うんですけどね。Head-Fiでblack/pinkのコンボがスムーズ(過ぎる)という情報もあって「逆にこっちの方が良いんじゃない?」という気もしたりして色々組み合わせを試してみたのですが、自分の好みに落とし込むことがうまくできず、今の環境が鳴らしきれてないのかもしれないし、とにかく毎日使うことはないだろうというのが今のところの意見です。
他の方のレビューを見てみると全然好みの音作りに感じたので購入したのですが、少しイメージしたのと違いましたね。多分この音を好きな人ってすごく多そうなのですが、自分の好みと照らし合わせてみるとなんか違うなというところもあって、やっぱり買って試してみないことには分からないもんですね。