発売されてから少し経ちましたが、Logicool Gシリーズのゲーミングヘッドセット「Logicool G Pro X (G-PHS-003)」を購入したので、レビュー。本製品はBlue MicrophonesがLogitech傘下となってから初コラボともいえる製品で、改善された全体の仕様とブームマイク機能が注目。
Blue機能はBLUE VO!CEソフトウェアによるところが大きいですが、ゲーミングヘッドセットとしては快適・音質も十分で、DTS Headphones;V2.0の7.1ch疑似サラウンドも秀逸。ゲーミングギアとしてはお勧めできる製品なので、メモしておきます。
Logicool G Pro X ゲーミング・ヘッドセット レビュー
Logicool G Pro X ゲーミング・ヘッドセットは、新世代のG Proシリーズとして登場したゲーミングギア。実は最近G Proシリーズはすべて購入してしまって、G Pro ワイヤレスマウス、G Pro Xゲーミングキーボードも所持しています。今回レビューするのはDTSの7.1chバーチャルサラウンドに対応したヘッドフォン。
個人的にLogitech/Logicoolブランドのヘッドセットは好きになれなかったのですが、設計を全面的に見直してゲーマー向けに登場したのがG Pro Xです。
思えば旧世代のG ProヘッドセットやG933、G533、G433、G331などは設計がかなり残念な感じだったので、今回ようやくまともなヘッドセットが出たなという印象です。
以前のLogicoolゲーミングヘッドセットといえば「ゲーマー過ぎるデザイン重視」で装着感や素材といった部分が二の次にされていましたが、新G Proシリーズの製品は無駄を排除して、より快適に、よりeスポーツに焦点をあてたプロ志向のシリーズとなっているのが特徴。もともとG Proシリーズはプロ向けですが、さらに洗練されています。
フィッティング・装着感
そんなデザインの刷新されたG Pro Xヘッドセットですが、筐体はより装着感を高めるようなオーバル型のイヤーパッドに、程よいアーチを描いたヘッドバンド、合皮とベロア、2種類のイヤーパッドが付属するなど、随分と変わりました。
本体カラーはブラック、両サイドにスピン加工とGロゴなどシンプル無骨なデザインに仕上がっており、この時点で実用性重視で改善してきたなということがわかります。
金属素材のアジャスターなど、構造としてはKingston HyperX Cloud Alphaシリーズに似ているような気がします。剛性があり耐久性の面でも安心できそうな設計です。
合皮とベロアのイヤーパッドですが、どちらも柔らかく快適です。個人的にはベロアのほうが通気性と肌触りが快適でした。合皮パッドのほうが遮音性は高いですが、よほど環境音が大きくない限りは、ベロアでも十分遮音してゲームに没頭できます。
Logicoolのヘッドセットはイヤーカップ内部に適度なスペースを設けている製品が多かったのですが、G Pro Xも十分な大きさを確保してすっぽり覆ってくれます。
装着感が良くバランスのとれたヘッドセットでいうと、HyperX Cloud Alphaシリーズ、Razer BlackShark V2 Xなども使用してきましたが、単純な装着感だけでいうとLogicool G Pro Xが一番快適に感じました。側圧と頭部圧のバランスが筆者の頭にはちょうど良く、長時間の利用に適しています。
長時間利用の面で少し気になるのが、重量。このヘッドセットが重いわけではありませんが、Cloud Alpha IIの重量が275g、Razer BlackShark V2 Xに関しては約240gです。G Pro Xが320gということで、実際に利用していて重さは感じます。
長時間利用において単純に軽さを重視している方にとっては、ほかのヘッドセットと比較しておいたほうが良いかもしれません。
G Pro X G-PHS-003の製品仕様
製品名 | Logicool G Pro X ゲーミングヘッドセット |
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型番 | G-PHS-003 |
サイズ | 長さ:138mm 幅:94mm 高さ:195mm |
重量 | (ケーブル除く)320g |
ケーブル長 | パソコン :2m モバイル:1.5m パソコンスプリッター:120mm |
ドライバー | ハイブリッドメッシュPRO-G 50mm ネオジム |
周波数特性 | 20Hz~20kHz |
インピーダンス | 35Ω |
感度 | 91.7dB SPL @ 1 mW & 1cm |
素材 | フォーク:アルミニウム ヘッドバンド:スチール イヤーパッドおよびヘッドパッド:低反発合成皮革 同梱のイヤーパッド:低反発クロス |
マイク | 指向性パターン:カーディオイド(単一指向性) 駆動方式:エレクトレット コンデンサー サイズ:6mm 周波数特性:100Hz~10kHz |
ヘッドフォンの音質
内部にはPro-G 50mmドライバーが内蔵され、ゲーミングヘッドセットとしては十分な解像度の音質を提供しています。
DTSバーチャルサラウンドOFFでの音質は音楽視聴にも使えそうな解像度で、DTSオン時には低域が強調されて解像度は少し落ちる印象でした。
このあたりはゲーム用と通常利用でDTS ON/OFFを切り替えるとよさそうですが、個人的にはDTSのサラウンド製品が好みということもあって、ゲームプレイ時には多用しています。
(Logicool G Hubソフトウェアから機能の調整が可能)
(バーチャルサラウンドの設定画面。個人的にゲームプレイ時はサラウンドON、その他はデフォルトがおすすめ)
筆者の場合は音楽視聴用にSennheiser HD600を使用していますが、ゲーミングヘッドセットの音質としてはG Pro Xはトップクラスに位置するので、多くのゲーマーにとってはこれ一つで十分音楽視聴も楽しめるかと思います。
G Hubソフトウェアをインストールした場合はマニュアルEQ、もしくはプリセットorユーザーがカスタムで作ったEQを適用可能です。※ちなみにこれらで設定した項目はオンボードメモリに保存されますが、この場合のオンボードメモリというのは付属USBドングル(DAC)内のオンボードメモリです。
新G Proヘッドセットシリーズには「G Pro X(G-PHS-003)」と「G Pro(G-PHS-002)」があるのですが、大きな違いはUSBドングル(外付けサウンドカード)がついているかいないか。
これだけで正規価格にして約4,000円の違いがあるので、DTS Headphones:X 2.0がいらないとか、Blue VO!CE機能がいらないとかであれば、XなしのG Proでも良さそうです。
マイク(BLUE VO!CE)音質
(ケーブルにボリュームコントロールとマイクミュートトグルを搭載)
米Logitechは2018年にマイクメーカーのBlue Microphonesを買収しているのですが、製品版として初コラボといえるのがこのBLUE VO!CE。Blueといえばハードウェアのマイクで有名ですが、今回のBLUE VO!CE自体は、G HUBに統合されたマイク調整のソフトウェア機能です。
BLUE VO!CEではマイクのプロファイルをかなり細かく調整できるようになっています。
例えば入力ゲインを抑えながらマスターのマイク出力レベルを上げて調整したり、EQで自分の好みの声が入力できるように調整OKノイズリダクションの程度から音声EQ、ノイズゲートの設定など、ほぼすべてを個別に調整OK。
ゲーミングヘッドセットに統合されたPC向けソフトウェア機能としては、かなり多く充実しています。またヘッドフォン出力の設定同様にプリセットやユーザーメイドの設定が用意されているため、これらからお気に入りの設定を自分のマイクに適用することも可能です。
ただ、肝心のマイクハードウェアの音質が、BLUEブランドから期待していたようなものではありませんでした。
個人的にはBroadcaster 2の設定が好みだったのですが、当然、これらの設定はハードウェア自体の解像度や音域自体を改善するのものではないです。
マイク音質について友人にも聴いてもらったのですが、中にはBLUE VO!CEをオフにした状態のほうがクリアだという人もちらほらいて、BLUEを冠したコラボ機能としては少し惜しいな、というのが正直な印象。
例えば、より低価格のRazer BlackShark V2 Xのほうがハードウェア自体のマイク音質は良かったです。USB DACとソフトウェアによるノイズゲートやコンプレッションが問題なのかと思い、いったん3.5mmジャックをSoundBlaster X3などにつないで試してもみたのですが、やはりハードウェアとしてのマイク音質は、Razer BlackShark V2 Xのほうが優れているようでした。
これはG Pro Xのゲーミングヘッドセットとしてのマイク音質が悪いというわけではなくて、初のBlueコラボとしての期待値が相当に高かっただけなのだと思います。
ゲームプレイ時のチャットに関してはまったく問題なかったのですが、このマイク入力でYouTubeやTwitch配信を行いたい人はマイク単体で探したほうが良いのかなと思いました。まあマイク単体で揃えるとなるとまた投資がかかるので、そのあたりは予算との相談になりますが。
Logicool G Pro X ゲーミング・ヘッドセットの所感
バランスが良い。これにつきます。ゲーミングヘッドセットというとギミックの多いデザインや派手な音質、無駄な設計などになりがちですが、G Pro Xは無駄を省いたデザインと良い装着感、視聴音質が好印象でした。
期待していたBLUE VO!CEはそうでもありませんでしたが、ヘッドフォン・マイクの音質はゲームプレイに使う用には十分ですし、ゲーミングヘッドセットとしての完成度の高さを感じます。バランスの良いヘッドセットを探していた方にはおすすめです。