【レビュー】Astell&Kern JH Audio ROSIE (THE SIREN SERIES)を聴く。

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Astell&Kern JH Audio THE SIREN SERIES “Rosie” の購入レビュー。ユニバーサルタイプのIEMであるTHE SIRENシリーズですが、ROSIEはそのエントリーモデルといった価格帯のインイヤーモニターイヤホンです。

エントリーモデルといっても発売時の価格が約14万円だったので普通に考えれば高価なイヤホンなのですが、より上位のモデルでは、Angie IIが約19万円、Roxanne IIが約27万円、Layla IIが約40万円 (いずれも発売時点の直販価格) なので、JH AudioのユニバーサルIEMとしては、意外にも買いやすい価格帯です。

Rosieは片側8BAのドライバーを搭載しており、日本国内発売前は6BAという情報もありましたが、8BAに変更になっていたというところでも話題になったモデルですね。さらに現在のRosieは7万円程度まで価格が下がっており、生産終了品になった点でも少し話題になったようなならなかったような。

個人的には音・価格ともにすごく良い製品だなと思うので、いくつか気になる点などメモしておこうと思います。

JH AUDIO Astell&Kern IEM-JH Audio THE SIREN SERIES-Rosie レビュー

Jerry Harvey Audioについて

JH Audioと言えば有名なJerry Harvey氏がパートナーと立ち上げたオーディオカンパニー(Jerry Harvey Audio LLC)で、カスタムIEMで高級イヤホンを扱っているブランドです。

Jerry Harvey氏はサウンドミキサーやサウンドエンジニアとしての経歴を持ち、Ultimate Earsの立ち上げや、デュアルスピーカーを搭載したIEMを発明した人物として、イヤホン界では先駆者であり神と称されるほど有名な人物。同氏が2007年に立ち上げたのがJerry Harvey Audioです。

(Talks at Googleの動画をみると、JH Audioが始まった経緯とかはだいたいわかります)

THE SIREN SERIES “Rosie”について

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「THE SIREN SERIES」は、Astell&KernとJH Audioのパートナーシップによって誕生したブランド。Astell&Kernブランドは日本国内の代理店がアユートの関係か、THE SIRENシリーズもアユートが取り扱う感じになってるみたいです。

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IEMのイヤホンですが「ユニバーサル・フィット(タイプ)」で、高い品質はそのままにユニバーサルタイプとすることで一般消費者にとってて届きやすい価格帯で購入できるというのもあるかと思います。

すでに生産は終了してしまいましたが、事実家電量販点などで試聴機が置いていることもありますし、手軽に買えてしまうのも一つの魅力なのかなと。

で、Rosieはその中でもエントリーモデルという位置付けになっており、THE SIREN SERIESの価格的には以下のようになっています。

  • Layla II (高い)
  • Roxanne II
  • Angie II
  • Rosie
  • Michelle / Michelle Limited (低い)

という感じになっており、冒頭の価格でも紹介した通り、THE SIRENシリーズにおけるユニバーサルフィットの位置付けとしては、一応エントリーモデルになっています。

さて、その中でのRosieはどんなイヤホンかというと、カスタムIEM「JH 13PRO」をベースに作られているそうな。

発表時は片側6基のドライバーだったのですが、日本国内で正式に発売した時には片側8ドライバー (低域2、中域2、高域4) の構成に変更されていることも話題になりました。今回のレビューでは家電量販店で新規購入したので、8BAの搭載モデルということになります。

スペック・基本仕様など

  • 品名 : ROSIE
  • 形式 : ユニバーサルフィット IEM
  • ユニット : カスタムメイドのBAドライバー (Low×2、Mid×2、High×4)
  • 周波数特性 : 10Hz~23kHz
  • 117dB@1mW
  • インピーダンス : 17Ω

付属品

  • オレンジアルミニウム製キャリングケース
  • IEMケーブル (3.5㎜ 3極ストレートプラグ 低域調整機能搭載 )
  • IEMケーブル( 2.5mm 4極バランスストレートプラグ 低域調整機能搭載)
  • ラバーイヤーチップ (ラージ・ミディアム・スモール )
  • フォームイヤーチップ(ラージ・ミディアム・スモール)
  • スクリュードライバー(低域調整用)
  • イヤホンクリーナーブラシ

それ以外のデザインや特徴など

フルメタルジャケット

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ROSIEのイヤホン本体は制振性に優れた金属素材をボディに採用。具体的にいうとアルミをボディ全体に採用しており、剛性にも優れているそうです。フェイスプレートはカーボンを採用し、個人的にはデザインはRosieが一番好きですかね。多分。

アルミ加工の独自4ピンケーブル

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まずはJH Audioの上位モデルにも採用されている、アルミ加工の独自4ピン端子。溝と突起部分を合わせてピンを差し込んだあとクルクルっと回して固定するので、通常の2ピンやMMCX端子と比較すると、個人的には安定感があると思います。

低域の調整機能をケーブルに搭載。

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ケーブルには低域調整機能が搭載されており、ここを付属のドライバーでねじって、グッと低域を引き上げることができます。調整範囲は0~15dBで、一番下げている状態(7時の方向)で完全フラットになるように設計されているそうです。

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一応説明書には英語で「1時~4時の方向がおすすめやで」と書いてあるのですが、個人的には低域にボリュームがありつつもしつこくない0時の方向がリスニング用にはお気に入りでした。この辺りはお好みで。

Moon Audio製のイヤホンケーブル。2.5mm4極バランス用ケーブルも付属

ケーブルは米ブランドのMoon Audio製だそうです。3.5mmケーブルに加えて「2.5mm4極バランス用ケーブル」も付属しているのが嬉しいところです。

DAPでも多くが2.5mmのバランス端子を搭載しているAstell&Kernブランドと組んでいるTHE SIRENシリーズですから、この辺りは嬉しいですね。独自の4ピンコネクターを採用しているという事情もありそうです。

Rosieの音質など

購入してからしばらくたつのですが、今回はミッドレンジのDAP「Pioneer XDP-300R」や「SONY NW-ZX300」、ポータブルアンプでは「Chord Electronics Mojo」を利用してみました。

最初に感じるのは、音の厚み。8つのBAを搭載しているせいか、音が濃いです。その音はBAらしく粒の良いレスポンスが魅力なのですが、低域に関しては0時の方向でしつこすぎない程度に量感が出てきて楽しめますね。かといってボーカル音域が思い切り前に出てくるような分かりやすさを重視した印象もないので、全体像を捉えやすいというか、そういう印象。一つ一つの音はクリアですね。価格が下がった今は異様なコスパに感じます。

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BA8基の多ドラということでセパレーションも気になっていましたが、低中域~中高域まではとにかくスムーズに音の繋がって出てきます。よく「シルキー」という表現をRoiseのレビューではちょびちょび見ますが、なんとなく分かる気もします。(まあ、これに関してはアイリバーがプレスリリースを出した時に使われている表現でもあるので、実際に他の方はどう感じたかはわかりませんが。)

それが低域調整機能で少し前に出たBASSサウンドに乗っかるので、多分このあたりがオールジャンルで楽しめるというところなんでしょうね。個人的には視聴時にAngie IIの方がボーカル音域は聴きやすいと感じたのですが、楽器隊もボーカルも横並びで出てくる感じという部分でRoiseの方が好みです。EDMなどでは逆に安いMichelle / Michelle Limitedの方が分かり易くて良いかもしれません。

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超高域までシルキーかというとそうは感じていなくて、どちらかと言えばエッジの聴いたシャープな音に感じます。個人的には洋邦ロックを聴くことが多いのですが、もともと超高の部分は金属感が強い音色ということもあってか、あまり相性の良くない曲というのもあるかもしれないというのが個人的な印象。…それでも8BAで全体像をうまくまとめながら綺麗に音が出てくるので、その中での超高域での激しさというのは個人的には割と好きで、こちらも好みの問題なのかなと。

DAPとの組み合わせでいうとXDP-300Rでは以前のレビューでも書いたように少し鳴らしきれていない印象はあって、低中~中高域のシルキーさというのはこれらでは感じられず音量を上げていった時の高域での音割れも感じたので、8ドライバーのマルチBAで16ΩのIEMイヤホンということもあってか、多分つなぐ機種は選ぶんだろうなと思うところはあります。 SONY NW-300は割と良かったですね。ROSIEはAKコラボなので、2.5mm4極とか相性が良いかというとまた別の話なのですが。

これがChord ElectronicsのMojoと繋いでみると全く別物で、音質レビューの冒頭で書いたシルキーさが感じられ、ノイズとも無縁な気がします。MojoではiOS 11のiPhoneからデジタル出力をして聴いているのですが、今回比較している3つではMojoとの組み合わせが一番良かったです。(もちろん持ち運びを考えると、iPhone 8 Plusとの接続ではスマートにケーブル収納ができずにまだ悩み中)

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今回とりあえず3機種DAPやポータブルアンプを用意してみましたが、マルチBAかつ16Ω IEMというスペック面も考えて、エントリー~ミッドレンジのDAPだと意外と「Rosie買って良かった」領域に辿りつけないような気はしていて、個人的には着地点がChord Mojoでした。もちろん鳴らしきれているか判断するのは自分の耳なので、まずは手持ちのDAPやポタアンを持参して視聴されるのがベストかと思います。

JH Audio Rosieを暫く使っての書簡とか

視聴時は予算もまだいけたローエンドモデルのMichelleや一つ上のAngie IIも一緒に聴き比べていたのですが、ボーカル音域が前に出て分かり易くリスニングに使いやすいイヤホンというのはもう持っていましたし、Michelleに関しては2pinのところに不安があったのと全体で際立つ音粒の多さと鮮明さでRosieと比較すると今ひとつのところがあり、結局ROSIEを購入したという経緯でした。

結果的いうと音質面では購入してすごく満足していますし、ユニバーサルフィットでサイズもでかいですが個人的には許容範囲で、Mojoと一緒に持ち出して毎日聴いています。

少し難しいところでいうと、もうMojoとの組み合わせ以外では満足できなくなってしまっているので、持ち運びの際に(iPhoneのカメラアダプターケーブルを使ってるので)ケーブル収納がまだ解決できていない部分もあって、こういった部分もケーブル一本で解消できたりすれば2018年は乗り切れるんじゃないかなという気がしています。音に関してはイヤホンに投資するのがまず一番と思いましたが、このスペックのIEMになるとやっぱりDAPやポタアンで随分と音の出し方が大きく違ってくるのも再認識できたので、そういう意味ではMojoありがとう、という気持ちとともに、アユート取扱ブランドで固めてる感じはそれこそなんとも言えない気持ちです。(そしてラインナップにKANNを追加しようと思ってるあたりが、さらにお財布に怖いところです、多分しませんが)

これが生産終了品になったことで意外とこれから慌てて買う人も多いんじゃないかなと思ってますが、アイリバーAstell&KernとJH AudioのコラボモデルがTHE SIRENシリーズなわけであって、後継機とかはどうなるんでしょうね。…もうJH Audioレベルの価格になると売れているボリュームゾーンがどこにあるのかもさっぱり予想できませんが、ユニバーサルフィットで手軽に購入できるTHE SIRENシリーズというのは継続してほしいものです。

(購入)