【レビュー】JH Audio JH13V2 PRO、ユニバーサルIEM

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JH Audio(Jerry Harvey Audio)のパフォーマンス・シリーズから発売されているIEMイヤホン「JH Audio JH13V2 PRO」を購入したので、レビューをしていきます。

JH13V2 PROはパフォーマンス・シリーズの最安モデルとして発売されたIEMイヤホンで、カスタム版もオーダーはできるのですが、今回はユニバーサル版。ひたすら淡々と音を奏でる、モニターライクな音作りが特長です。

JH AudioならではのBASS調整ダイヤル搭載ケーブルも付属しており、単純なモニターライクな使い方だけない面白さもありつつ、やっぱりモニター調の音をひたすら聴く用に重宝する製品。最近使い続けて非常に気に入っているモデルなので、気に入っている点や気になっている点をメモしておこうと思います。

JH Audio JH13V2 PRO レビュー(ユニバーサルIEM)

JH13V2 PROは、米Jerry Harvey Audioから発売されたイヤホン。IEMとしてカスタムもオーダー可能ですが、今回はユニバーサルシェル版を購入しました。

このシリーズは「Performance Series(パフォーマンス・シリーズ)」として発売されたIEMイヤホンで、同時期に登場した同じシリーズのイヤホンだと「JH16V2 PRO」や「ROXANNE」もあります。今回レビューしているJH13V2 PROはシリーズでは最も価格の安いモデルですが、それでも発売時の価格が約13万円だったので、少なくとも価格面ではハイエンド・オーディオに属する製品かと思います。

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今回購入の決め手となったのが「モニターライクな音質」と「筐体の小型化」でした。

まずは音質面ですが、最近ハイブリッド型の低音が激しく楽しいIEMばかり購入していたので、モニターライクでフラットな音色のイヤホンも求めていたのが理由です。

また以前購入したJH Audio Rosieは、Siren Seriesで筐体がメタル素材でサイズも大きく、フィッティングには個人的に苦労する製品でした。今回購入したJH13V2 PROをはじめPerformance Seriesでは素材が変更、筐体が小型化されて、より装着感が快適になっている点がポイントです。製造には3Dプリンターを活用しているみたいですね。

もちろんそれぞれの耳型は異なるのでSiren Seriesのイヤホンが耳にあうという方もいそうですが、明らかに小さくなったPerformance SeriesのJH13V2 PROは、筆者個人の耳によりフィットする装着感でした。

Rosieはメタル筐体の内側が耳に当たるような大きさでしたが、JH13V2 PROは小型化されたせいか、イヤーピースと耳にかけるフック部分(調整可能)で固定するような感じです。好みの問題ですが、イヤピースをSpinFitのダブルフランジやCrystalline Audioのフォームタイプに換装するとSiren Seriesより明らかにフィット感が良く気に入っています。

デザインはウッドプレートに、光沢のあるJH Audioロゴ & 13V2(PRO)の製品名。ギターピックを連想させる外観は価格なりの所有欲を満たしてくれます。そういえばAAWでも製品型番を大きくあしらったデザインのIEMがありましたが、どこが最初に始めたんでしょうね。フェイスのウッドプレートはマホガニー材だそうです。

ドライバーは独自開発でロー×2、ミッド×2、ハイ×4で、合計8つのBA型(バランスド・アーマチュア型)ドライバーを片側ずつに搭載している3WAYです。インピーダンスは28Ω、周波数特性は10Hz〜20kHz、感度が112dB@1mW。単純な音量自体は取りやすいです。

音導管にはステンレス素材が採用されており、JH Audio「FreqPhaseテクノロジー」も搭載されています。高域・中域・低域の周波数を同時に届けることによって、位相をどうにか上手くコントロールして正確な音を出す、みたいな技術ですが、いくつかのJH Audioのイヤホンにはこの技術が搭載されているので、感じ取れるかどうか聴いてみると良いと思います。

コネクター形状はJH Audioの4ピン・コネクタを採用しており、アルミ製のスクリューを回してロックできるので、普通の2ピン・コネクタと比較すると安心感があります。ケーブルはMoon Audio社のもので、中間に低域が+10dBまで調整可能なダイヤルを搭載。見た感じSiren Seriesに付属していたものと同じように見えますが、詳細は不明。

ケーブルは金メッキの3.5mm(シングルエンド用)のみで、Siren Seriesで付属した2.5mm4極バランス出力用ケーブルはなし。Siren Seriesはアイリバー Astell&Kernブランドと組んで発売したシリーズでもありDAPとの販売も兼ねていそうなのであれですが、確かに実際にモニター用途で使うユーザーが多いとなると、2.5mm4極バランスケーブルは必要ないかもしれません。個人的にはリスニングがメインなので欲しいには欲しいのですが、3.5mmシングルエンド用だけでも音は良いので問題なしです。

その他付属品はクリーニングツール、シリコンとフォームタイプ(Comply)のイヤーピースがサイズ別に数種類、アルミ製のメタルケースが1つ。付属のイヤーピースはあまり耳に合わなかったので利用していませんが、付属品は豪華ですね。

イヤーピースとフィッティング

筐体が小型化されたこともあってSiren SeriesのユニバーサルIEMよりは装着感が良かったのですが、音導管部分のサイズが気になっていたので、イヤーピースを換装しました。選ぶのに少し苦労したのですが、最終的に残ったのがSpinFitとCrystalline Audioのフォームタイプです。

まずはSpinFitですが、シングルの「SpinFit CP100」と、ツインブレード(ダブルフランジ)の「SpinFit CP240」を用意しました。サイズはどちらもM。

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SpinFitは軸に可動域を持たせており耳の穴に合わせてフィットするような構造なので、筐体が耳にビシッとフィットしないイヤホンの場合に、耳穴にしっかりイヤーピースを入れて固定できるので重宝しています。JH13V2PROではダブルフランジのほうが耳奥まで押し込めたので、SpinFitではCP240を利用しています。

ただしSpinFit CP240だと耳奥に入りすぎて疲れることがあるので、そんな時にCrystalline Audio・Crystal Tipsを使っています。フォームタイプのイヤーピースなのですが、感触がもちもちしていて耳触りが良く、最近はComplyよりもこちらが好きになりました。浅く着けていると滑ってきますが、その分SpinFitよりも長時間つけるのが楽です。ただし、Crystal Tipsは潰して押し込んでを続けていたら先端が割れたので、耐久性的にはシリコンのものと比較すると消耗が早いかと。

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音的にはSpinFit CP240は高域もそのまま出てくるような感覚で、Crystal Tipsはそれがまろやかになる感覚です。モニター用にはSpinFitが好きですが、普段のリスニング用にはCrystal Tipsを利用中。どちらも遮音性は良いので、外出先でもある程度試聴に集中できます。

SpinFit CP240のダブルフランジは耳の奥まで入るせいか、音の距離感がCrystal Tipsとは異なります。定位としてはCrystal Tipsの方が自然で聴きやすいかもしれませんね。楽器隊に集中して聴きたいときはSpinFit CP240のほうが良いので、ここは使い分けています。

モニターライクな音質

今回の試聴環境は、プレーヤーにFiiO M9を用意しました。AKM AK4490ENをデュアルで搭載し、Androidベースでいくつかのストリーミングアプリにも対応したDAPですが、Pioneer XDP-300Rでノイズが出たイヤホンを使ってもホワイトノイズが皆無なので、最近は外出時のメインDAPとして利用しているおすすめDAPです。

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記事冒頭でも少し記述しましたが、JH13V2 PROはマルチBA(8つ)のイヤホンでありながら、3WAYのクロスオーバーも自然で、かつ各帯域が横並びになったフラットなモニター調です。Jerry Harvey氏が「フラットはつまらん」と以前語っていたくらいなのでどこかリスニング向きな味付けがあると聴く前は思っていたのですが、低域調整部分を0にして聴いてみると、かなりのモニターライクで、淡々と鳴らします

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各帯域はシャープですが極端なキツさを感じることもなく、解像度は非常に満足。モニターライクなIEMを求めている方にはドストライクなイヤホンかなと感じました。全体的には硬質な音色なので、普段のリスニング用にはフォームタイプのCrystal Tipsでの試聴が気に入っているところも考えると、多分フォームタイプのイヤーピースによって硬質な部分の角が取れて聴こえるのが快適なせいなのかなと感じます。

ただしどちらかと言えばシャープさが目立ちますし、例えばヘッドフォンを数時間聴いてからJH13V2 PROに戻ると、随分とシャープに聞こえます。そんなことから、音の傾向としてマイルドな優しさとか疲れにくさみたいなものは、そんなにありません。

BASS調整が付いているのがやはり面白く、元々のチューニングはフラットでありながらも、調整するとある程度低域も押し上げて楽しめるところ。JH13V2 PROのカスタムの公式ページには「ノラ・ジョーンズとメガデスのサウンドは同じはずがないからね!」みたいな説明があるのですが、まさにその通りで、聴く用途や曲に合わせてある程度調整できるのが良いです。qdcなんかもサウンドチューニングが変更できるIEMを発売していますし、最近は多いですね。

ちなみにマニュアルには「12時の方向でThe Lowest BASSに設定」「5時の方向で最大設定」と説明あり。この設定も機種によって違うようです。おすすめは1時〜4時の方向だそうですが、個人的にはリスニング用に3時手前、モニター用に12時に合わせています。

元々がモニター調のせいか、最大設定だと少し不自然な低域に感じました。調整を回すとしても、3時方向くらいまでが個人的な許容範囲の低域です。特定の楽器モニター用に聴くならちょうど良いところで調整したりと活用方法は様々ありますが、個人的にはモニター用途であれば12時方向がおすすめかと。

試聴曲ですが、ジャズ、ロック、ポップスなど多ジャンルで聴いてみました。

「Piano Ballads」シリーズはとにかく美音な女性ボーカルとピアノを楽しめるJAZZカバー・ミックスですが、ボーカルの響きとピアノに絞って聴かせる曲ばかりなので(というか基本的には女性ボーカルとピアノのみなので)、もともと艶々な曲が多くJH13V2 PROくらいモニター調なイヤホンでも楽しめますし、高域も潰れずに出てきます。

最近はボーカルにフォーカスの行くイヤホンで聴くことも多かったのですが、このJH13V2 PROではピアノへの意識と半々くらいな感覚です。強調された部分が少ないにも関わらず各音の粒の良さ・解像感を感じるのは素直にすごいと思える部分で、やっぱりこのあたりはマルチBAの恩恵なのかなとも思ってみたり。

少し話が脱線すると、このアルバムに収録の「Space Cowboy」をカバーしているTara Louise、どうやらPMJ(PostModern Jukebox)でも歌っていて、BABYMETALのギミチョコ!!なんかをカバーしていて面白いです。

PMJは2000年代ポップスのJAZZアレンジを中心に様々な曲があって、Haley Reinhartがカバーするレディオヘッド「Creep」なんかもアレンジが秀逸。原曲はもちろん、カバーはまた違った良さがあるので最近良く聴いています。こういうアレンジ曲を聴くにも、モニターライクなイヤホンというのはまた違った聴き方ができるので良いですね。PostModern JukeboxはYouTubeチャンネルもありますし、Spotifyでストリーミング配信もされているので興味のある方はぜひ。

Creep – Vintage Postmodern Jukebox Radiohead Cover ft. Haley Reinhart

(オリジナルの歌詞にある哀愁も漂いつつ、メロウかつ力強いアレンジ)

次にロックな曲でRIZE「PARTY HOUSE」、UVERworldの「7th Trigger」を試聴。雰囲気は違いますが、どちらも疾走感のあるナンバーです。

やはりモニターライクなのでどこかスタジオで聴いているような感覚が残りますが、例えばベースを追う、ドラムを追うとなると解像度が高くバランスも良いので集中しやすいです。JH13V2 PROはバランスが良いので全体を捉えながら追いやすいのかもしれません。ただし、やはりモニター色が強く、フラットで奥行きも少なめなサウンドが根本にあるので、そこを求めていることが前提な気もします。

つまるところJH13V2 PROはモニター・サウンドが良いので、リスニング向きに無理矢理低域調整ダイヤルを回そうとすることは少ないです。やはりモニターライクなサウンドを楽しむのがJH13V2 PROの醍醐味なのかなと思います。