【レビュー】AZLA-01R、ブランド初のフラグシップ・イヤホン

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AZLA(アズラ)といえば韓国発の新鋭オーディオブランドですが、今回その第一弾モデルとなる「AZLA-01R」を購入したのでレビューしてみようと思います。

“天空のかけら”という意味を込めた名称やデザイン、イヤホンとしては珍しい同軸ドライバー配置、基本は密閉型でありながら独自の技術によって開放感のあるサウンドに仕上がっており、Labkable社の特注2pinケーブルやDignis製キャリングケースなど付属品も豪華で、アユート取扱のブランドということもあってかプロモーションも盛大に行われ(たような気がします)、発売前から注目を集めたイヤホンでもありました。

ふくよかな低域と内部構造からきたであろう独特の音色は美音の一言で、個人的にも利用することが多いイヤホンの1つでもあります。…2ピンの異様な硬さや不安定さ、フィット感の問題などもあり、後日AZLA独自開発の「SednaEarfit(セドナ・イヤーフィット)」というイヤーピースが販売されたことでもこれまた話題になりました(これはAZLA HORIZON用という意見もありますが、個人的にはAZLA 01R用フィット感の評判を受けて開発したものだと勝手に思っていたりします)。

発売からしばらく経っていますがいまだに使い続けているお気に入りのイヤホンであり、またSednaEarfitが期待していた以上によかったので、そのあたりをメモしておこうかと思います。

AZLA-01R レビュー

今回はAZLA(アズラ)の第一弾イヤホン「AZLA-01R」のレビューです。AZLAは韓国初のオーディオ・ブランドで、この01Rが初の製品ということになります。ブランド名をそのまま商品名に冠しており、2017年の発売前から期待が膨らんでいたモデルでした。

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AZLA 01R

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内側

AZLA自体は韓国発のブランドで、創設はiriver(アイリバー)に在籍していたAshully Lee(アシェリー・リー)氏が立ち上げたブランドらしいです(これはニュースを見ただけなので、真偽はなんともいえないのですが)。AZLAは公式ウェブサイトがあるのですが、Distributorsのページを見ると日本、香港、台湾で展開していますが多分北米なんかにはまだ進出していない感じですね。ですので日本では発売前から話題になっていたのは記憶に新しいですが、Head-fiなどの話題には意外と出てこない新鋭ブランドでもあります。

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美シェル

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よく見るとベンチレーションのための通気孔があります。

「AZLA」というブランド名はフレンチのazur(ブルースカイ、ブルーオーシャン)と、ラテンのlăpis(ストーン)を掛け合わせた造語だそうで、”A PIECE OF BLUE SKY” や “‘Meteorite’, a small fallen piece from the universe.”と公式サイトでも説明があるように、日本のマーケティングで使われているキャッチフレーズが “天空のかけら” だったりするのも、なんとなく納得です。

同軸ドライバーやシェルの独自構造のみならず、Labkable社製のケーブルやDignis製のキャリングケースなど付属品も名前だけ聴くと超豪華なセットで販売が開始され、アユート取扱(ここは毎回プロモーション上大きな部分だと思うのです)ということもあってか発売前から試聴に長蛇の列ができたり、第二弾となるAZLA HORIZONが発売された今もブランド自体いつも話題になるような気がします。

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AZURとLAPISの組み合わせで”AZLA”

AZLA 01Rでまず注目なのが、同軸配置でダイナミック・ドライバー1基と、その真ん中にBA(バランスド・アーマチュア)ドライバーを1基搭載しているところ。同軸配置のイヤホンというとあまり聞かないですが、とりあえずマルチBA機やハイブリッド・ドライバー搭載イヤホンでの位相差などの問題を解決したとかしてないとか、そういった売り文句です。

一応構成としては11mmのダイナミックドライバー(ウーファー)の真ん中に、フルレンジのBAドライバーが同軸配置されている構造です。ALZA公式サイトではこれをBED(Bulls Eye Driver)と呼んでいるのですが、たしかDynamicMotionが発売したDM200Hに搭載されているハイブリッドドライバーもBulls Eye Driverだったはずで、この辺りとの協業もあるみたいです。自然でゆったりとした音色に感じるのはフルレンジBAを採用しているからなのかもしれません。

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同軸配置のドライバー

メタルっぽく見える部分はアルミ素材で、ドライバーにはベントが設けられています。外側のクリアシェルはポリカーボネート素材となっており、基本的には密閉型でありながら、そのサウンドは開放型っぽい広さと音抜けの良さを感じることができます(しかしながらやっぱり密閉型にも感じるのも、AZLA 01Rの面白いところとは思うのですが)。

説明だけ見ると基本的なドライバーの部分はDynamicMotionのものがベースになっている感じですが、簡単にいうとメタル系のドライバーユニットをポリカーボネートのシェルで包んで、アコースティックな部分でうまく調整されているんだと思います。

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アルミベースのドライバーユニットを、ポリカーボネート素材で包む構造

個人的にAZLA 01Rがすごいと思うのは、こういった内部設計が外観のデザインにも活かされており、そこから出てくるサウンドもブランド・製品イメージ通りにまとめている、総合的な製品設計の秀逸さです。とてもブランド初のイヤホンとは想像できないレベルと言いますか、そういった意味ではあれだけ発売前から話題になったというのは、マーケティングのみではない、イヤホン自体のポテンシャルの高さみたいなものもあるのではないかな、と個人的には感じます。

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付属ケーブルはLabkable社の「Sliver Galaxy Mix MKII」をベースに、AZLA 01R向けに設計された2ピン仕様ケーブルです。6N OFC線材を採用した4芯ケーブルで、この価格帯のイヤホンに付属するケーブルとしてはなかなか豪華なセットです。柔らかくて取り回しが良く、カラーも01Rにマッチしていて好印象です。

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LabkableのSilver Galaxy Mix MKIIをベースに設計されたそうです。

セット内容が豪華という点では、付属するキャリングケースがDignis製のARCA(アルカ)という専用ケースになっていることです。イヤホンやDAPのケース関連ではそこそこ名前を良く聞くDignisブランドなので信頼性もありますが、よくよく考えてみると、たしかDynamicMotionもDignisも韓国初のブランドですし(Labkableはたしか香港なのですが)、元をたどるとAZLAというブランドが韓国初であることが良くわかる付属品になっているのも面白いです。韓国といえばやはりiriverとCowonでDAPなイメージが個人的にはあるのですが、個人的な脳内ではAZLAが “韓国ブランドの注目イヤホン” 的な部分ですでに定着しています。

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Dignis製の付属ケース

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中の四角いしきりは、実は取り外し可能です。

このように色々と多くの要素が重なりあって注目度が高かったAZLA初のイヤホン01Rなのですが、少々不具合というか問題もありましたので先に記しておきます。

AZLA 01Rのイヤーピース・フィット感の問題と、Sedna Earfitについて

AZLA 01Rが発売されてからしばらく話題になったのが「装着感が良くない」とか「イヤーピースを替えないと厳しい」みたいな情報が多くありました。もちろん個々の耳型によるとは思いますが、これは個人的にも同感です。色々な意見があったので個人的にも原因を試してみたのですが、どちらかというと筐体のサイズ感や形状というよりかは、イヤーピース自体の問題な気がしています。

プロモーションの面でも気合が入った製品だったところもあって「フィット感があまり良くない」という評判は一気に広がったような気がしますが、販売店では有名な某eも他のイヤーピースを試すブログ記事を公開するなど、各人工夫をされたと思いますし、筆者も初期付属のイヤーピースは耳に合わなかった1人です。

実は最近AZLAブランドから、イヤーピースの「SednaEarfit(セドナイヤーフィット)」という製品が発売されました。これは”2年かけて”独自開発したイヤーチップとのふれこみで、新モデルのAZLA HORIZONに付属する他、単体での販売も開始しています。

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色々試したのですが、結局SednaEarfitが一番フィットしました。

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SednaEarfit

一般的なイヤーピースと比較しての周波数特性なども書いてあります。

…この”2年かけて開発した”というのは個人的には疑問に思っている部分もあり、タイミング的には「AZLA 01Rのフィット感の評判があまりにも悪かったので、SednaEarfitを対策として出した」みたいな感覚です(私は一般消費者なので開発期間に関することはさっぱりわかりませんし、あくまで勝手な予想です)。

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付属イヤピースとの比較。高さなどほとんど別物です。

AZLA 01Rのフィッティングには個人的にも苦しめられて、音が好きなだけにどうにかフィットするイヤーピースがあれば…とは思っていたのですが、結局このSednaEarfit(筆者の場合はMサイズ)がベストフィットでした。

SednaEarfitはAZLA 01Rとの相性があまりにも良いので「もしかして専用に設計したんじゃ…」と感じたのが勝手な想像をしていた理由でもあるのですが、とにかくSpinFit、Final Eタイプ、SONYトリプルコンフォートなど色々試してSednaEarfitが一番良いという結論に落ち着いたので、今からAZLA 01Rを購入する方は、まずSednaEarfitを試していると良いと思います。またこのイヤピはTwitterなどをみてもすこぶる評判が良いので、他のイヤホンに試してみるのも面白いかもしれません。

また元々の装着感が悪かったことが幸いしてか(?)、BitSoundからAZLA 01R専用のB-05というカスタムイヤーピースも登場し、受注販売も開始されました。

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BitSound-B05(販売サイトより)

BitSound B-05はすでに価格の下がったAZLA 01Rより高価なカスタム・イヤーピースなのでコスパは考えようですが、CIEM市場のイヤホン価格を考えれば「自分の好きな音のイヤホンで、カスタムしてフィッティングができる」という点も考慮して意外と安い買い物なんじゃないかとも思えてくるのが面白いところです(買いたいのですが、01Rの後継モデルが参考展示されていたという情報もあり迷ってます)。

ですので、色々あってむしろフィッティング関連のオプションというか選択肢は実はかなり広い製品になりました。個人的にはSednaEarfitで十分満足なのですが、この価格でカスタムIEMっぽくできるのであれば注文したいなとは思っているところです。

2ピン端子の不安定さの不具合

冒頭で”総合的な設計が秀逸”みたいな話をしたのですが、2ピン端子の部分だけはどうも不具合というか、不安の残る設計だったので一応メモしておきます。

まず、2ピンの挿込が固すぎます。専用ケーブルなのに2ピン端子のサイズが合っていないんじゃないか、ぐらいにきつかったので友人のAZLA 01Rに関しても聞いてみたのですが、結局同じでした。2ピンのきつさに関してだけ言えば、今まで筆者が利用したイヤホンの中でもダントツにキツキツだったので、なんでだろうと少し疑問です。

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2ピンの不具合続き

たしかに2ピン端子というのは安定しない製品も多いので、ポートの部分をきつめに設計しているならわかります。ただ、両手で押し込んでも(リアルにポリカーボネートの外装が軋むくらいに力を入れないと)全然中に入らないので、なんだか2ピン童貞な気分になりました。

実は右側のケーブルが接触不良で一度新品交換をしたのですが、同じような接触不良は交換品でも起きましたし、2ピンのきつさに関しても同様でした。色々考えてもこれがAZLA 01Rの標準設計なのだと考えると、このような不具合に遭遇した方も多いのではないでしょうか(もしいないなら、驚異の確率で筆者は不良品を引いたことになりますので、それはそれで悲しいです)。

別の情報も補足しておくと、AZLA HORIZONではMMCX端子を採用したこともありますし、最近AZLA IIのプロトタイプが展示されていたそうなのですが、後継モデルでは”2ピンの扱い易さを調整”とあるので、後から出てきた情報をみる限り初代のAZLA 01Rは2ピン端子の部分で問題があったんじゃないかなと勝手に思っています。

逆を言うとSednaイヤーフィットで装着感が改善された今、この2ピンの安定性が唯一のデメリットな気がしているので、それであればもう常用に気になるところはあんまりないので出番が多くなっています。

音質:美音の一言

“開放感のある美音”というのがAZLA 01Rの個人的な印象です。美音といっても解像感に全振りしたシャープな質感ではなく、どちらかと言えばシルキーでゆったりめな感覚。

かといって高域ばかりにフォーカスされるイヤホンという訳でもなく、低域のふくよかさも適度に主張してくるのが特徴です。開放感を伴う音色のせいかどこかふわっとした空気感のある独特な低域で、量感はありつつもどっしり芯がある感じではなく、もっと軽い雲の上を歩いているような感覚と言いますか。

ハイブリッドでDD1、BA1の構成なので意外とドンシャリな傾向を予想しつつも、そういう感じでもないです。広域をカバーするBA(スペック上はフルレンジということなので)を同軸で搭載しているせいか聴き疲れしない自然に感じる音で、ジャズなどは聴き応えがあります。締まりすぎずゆるすぎないと言いますか、女性ボーカルのジャズ曲など、例えばジュリー・ロンドンはもううっとりして時間を忘れて公園で1時間くらいのんびり聴いてしまいます。ふくよかですが広がり過ぎず重過ぎない、ボーカルの艶感も楽しめますがどっしりし過ぎず軽さも持ち合わせている、というとなんだか混乱してきますが、そのあたりのバランス感が絶妙です。

DAPでいうとシャープさに振り過ぎない点ではAK70ぽいと言いますか、AK70単体との組み合わせではどちらも似た者同士の空気感で合うと思います。逆に解像感を感じながら芯も1本どっしりと通ったFiiO X7+AM1と合わせてもバランスが取れて面白かったり。Mojo出しではAZLA 01Rの空気感は残しつつもクリアさとMojoっぽさを楽しめたりと、基本的にはAZLA 01Rの音質傾向を起点にしながら、DAPやアンプで変化を楽しんでます(初代AK70で十分楽しめるので、AZLA 01R自体はそこそこ鳴らしやすいイヤホンとも感じます)。

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Ak70単体との組みわせだと、似た者同士のマッチング

それもこれも結果的には単純にAZLA 01Rの音作りが個人的な好みに合っている、ということに尽きるのですが、そのため価格が3万円以下に下がってしまった今はコストパフォーマンスの高さでもオススメすると思いますし、逆に後継機の登場を匂わせる情報が少しずつ出てきている状況でもあるので、BitSound B-05をオーダーしようか迷わせる悩みの種でもあるのですが。

(購入リンク)