【レビュー】Astell&Kern AK70に出戻りする話

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定番DAP「Astell & Kern AK70」の購入レビューです。AK70と言えばアイリバー・Astell & Kernブランドから2016年(だったはず)に発売されたデジタルオーディオプレーヤーで、小型なサイズ感、音質、手頃な価格でまさに”定番”DAPな製品です。

すでに後継機となるAK70 MKIIが発売された今は旧機となったわけですが、専用ケースの豊富さやそのサイズ感からトランスポーターとしてもまだまだ優秀なDAPでもあります。けっこう前から使っているのですがなんだかんだでいまだに使う機会が多いAK70というDAPを改めて考えてみたいという思いも込めて、少しだけ思うことを書いてみようかと思います。

アイリバー Astell&Kern AK70 レビュー

Astell & Kern AK70と言えばアイリバーから発売されたDAPで、発売当初購入した方も相当数いるかと思いますが、初代AK70は筆者自身AK70 MKIIやA&シリーズが発表された今も使い続けているモデルです。発売当時は6~7万円くらいの価格だった気がしますが、現在は新モデルが発売されたこともあって価格が下がっており、中古市場でも随分安い価格で出回るようになりました。

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DAC(D/Aコンバーター)にはシラース・ロジックのCS4398がシングル搭載、3.5mmアンバランス出力端子の他に2.5mm4極のバランス出力もサポート、USB DACとしての利用もOK(96kHz/24bit)。

単体ではPCM最大384kHz/32bit及びDSD128(5.6MHz/1bit)の再生に対応しており(ネイティブ再生は192kHz/24bitまで。352.8kHzは176.4kHz、384kHzは192kHz、32bitは24bitにダウンコンバート、DSDはPCM176.4kHz/24bitに変換)、USB micro Bのポートからデジタル出力で、ポータブルDACアンプなんかと接続してトランスポーターとしても使えます。

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ワイヤレスの面でもBluetooth 4.0をサポートし、コーデックではSBC、aptX、さらにaptX HDにも対応しています。DLNA機能の「AK Connect」を使えばiPhoneやAndroidスマートフォンのアプリを利用してリモート操作も可能で、単体DAPとしても小型でハンディーですが、他の機器との連携やリモート操作の面でも個人的には優秀なDAPだと思います。

内蔵メモリ(ストレージ)は64GBで、microSDカードスロットは公式サイトを見ると最大256GBまで対応。microSDカードスロットは1基のみですが、そこそこ大容量で多くの曲数を持ち運べます。立ち位置としてはAK Jrの後継機という位置付けだった気がしますが、サイズ感や内部仕様、デザインといったところを見ると、発売当初は新シリーズといった感じの機種だったと記憶しています。

OSのベースはAndroidベースですが、あくまでベースなので基本は音楽再生専用のDAPという感じです。ですのでPioneer XDP-300R/Onkyo DP-X1AやFiiO X5 3rd Gen/X7のような純泥DAP的な使い方はできません。(とはいえ、泥DAPで音楽ストリーミングサービスを利用する以外のメリットは、個人的にわからない部分も多いのですが。音ゲー利用にも根本的なスペックが足りない機種が多いですし※ONKYO GRANBEATなら行けたりするのかも…)

一応TIDALのみ直接ストリーミング再生に対応していますが、TIDAL自体は日本向けにローンチしていないので登録が面倒だったりします(TIDALは個人的にも使ってません)。追記:最近TIDALをVPN経由で契約したのですが、AK70だとオフライン再生に対応していないんですね…高音質モードでストリーミングを楽しむならWiMAXルーターの契約なんかが必要になりそうで(実は持ってる)、かなり残念な感じです。

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人気モデルのせいか、専用ケースが多いのも魅力だったりします

後継機のAK70 MKIIがすでに発売されている今、いまだにのんびり初代AK70を使い続けているにも色々理由があるのですが、引き続き不具合や故障が出ない限りはしばらく使いそうなのでそのあたりだけメモしておきます。

単体DAPとしてのAK70の良さ

  • 小型/軽量
  • 使い易いインターフェース
  • エアリーな音質傾向

単体DAPとして使う上でのAstell & Kern AK70の良さというのは、まず持ち運び易いサイズ感であることかと思います。個人的なポタオデ事情でいうと、例えば仕事で関東に数日滞在するときなんかは、どうしても多段で持ち運びたくないとか、夏はもうBluetoothイヤホンで済ませてしまうという状況が少なからずあります。そういった時にはやっぱり小型DAPが活躍するところで、サイズ感的にも重量的にも、胸ポケットに入れて邪魔にならない秀逸な設計です。

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2.5mm4極端子搭載で、バランス対応。ボリュームノブも扱い易い

タッチパネル対応で、操作インターフェースが使い易いのも単体利用ではメリットです。もちろんタッチパネルと言えば発売時の同じような価格帯でソニーのNW-ZX300やFiiO X5 3rd/X7など数えきれないほど製品はあると思うのですが、単純に音楽を再生停止・曲送り、音量調節といった点では個人的にAK70シリーズが一番使い易いように感じます。

左サイドの曲送り/戻し、再生/停止用の物理キーはもう少し大きくても良いかなと思うところもあるのですが、それでもそのボタンの配置なんかはかなり使いやすく、音量調節のボリュームダイヤル/ホイールも目盛ごとにフィードバックがあって、所謂”軽過ぎない”ので、ポケットから取り出しての爆音問題なんかもほとんど気にせず使えたりします(音量調節はロックなしで使うことが多く、FiiO X5 3rdの軽いボリュームダイヤルには悩まされた経験もあります)。

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DLNAでスマホからリモート操作ができる「AK Connect」もかなり使い易いです。AK Connectを利用すると極論DAPに触らずとも選曲などができたりするわけですが、こういったところを含めた操作性が使っていて苦にならないというのが重要で、多分長く使い続けているのもそういった部分が関係しているのかなと思ったりもします。

似たようなリモート操作ができるという点ではHiBy Linkなんかがあり、トランスポーターとしてHiby Link(HiBy Music)に対応したShanling M2sなどをしばらく使ってみたこともありましたが、HiBy Linkでのリモート操作時にがっつりノイズが入ったりした経験がありました(これは原因がどこにあるかわからないのですが)。

AK ConnectはiPhoneで使ってもAndroidスマホで使っても現状そういったノイズが入る経験がないので、そういうところも含めて不満があまり出てこない部分も優秀です。

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AK Connectは優秀。できればApple Watchにも対応してほしい

音質でいうとウォーム寄りで、カチッとした解像感というよりはふわっとした空気感を楽しめる傾向かと思います。ゆったり聴きたい気分にぴったりのDAPで、カントリーソングやJAZZをのんびり聴くと非常に心地よさを感じます。逆をいうとロックな曲はもっと芯がどっしりしながらも解像感も楽しめるFiiO X7のようなDAPの方が合うと思うのですが、こういう感じのふわっと軽い音色が楽しめる点では意外と数少ないDAPなのかなとも思ってみたり。

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AZLAと相性が良い気がします

単体で使うところで唯一不満があるとすれば、出力面でパワーのなさを感じることが多々あるので(2.5mm4極端子のバランス・アウトでも感じますし)、ヘッドフォンによってはAK70単体で鳴らそうとすると悲しくなる時があります。最近試してみたヘッドフォンでいうとAKG K7XXなんかがあるのですが、もともとエアリーな傾向のDAPと考えてもパワー不足を感じるところがあります。単体利用でいうとイヤホンならAZLA 01-Rなんかは十分で相性も良いと感じるのですが、やはりトランスポート用の使いやすさがAK70にはあるので、そういう時にはポータブルDACアンプを噛ませたりして使うことが多いです。

トランスポーターとしてのAK70

  • 専用ケースが良い
  • Mojoとのコンビが使いやすい

単体DAPとしてだけで見れば多分買い替えても良い時期な気が個人的にもするのですが、いかんせん専用ケースが販売されており、ChordのポータブルDACアンプ「Mojo」と組み合わせて持ち運び易いのが、いまだにAK70を持ち出すことが多い大きな理由の1つです。

AK70は多分DAPとしてはかなりの数が売れた製品だと思いますし、Astell & Kernブランドもといアイリバーがアユート(が代理店)ということもあってプロモーションはいつも気合が入っていますし、もともとブランド力の強いこともあるのかもしれませんが、とにかくMojoと重ねる専用ケースがいくつか発売されました。

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Dignis AK70×Mojo用の専用ケース。圧倒的な扱い易さ

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DignisのケースはmicroSDカードもそのまま取り出せるような設計

先述の通りトランスポート用だけならShanlingのDAPでも良いかと思ってはいたのですが、やはり専用ケースで重ねるのとシリコンバンドで重ねるのでは、持ち運び易さや操作のし易さが大きく異なってくることに気付きました。もちろん専用ケースと言えどもMojoと重ねるとそれなりの厚みにはなるのですが、それでもギリギリ胸ポケットに入るサイズ感です。(Shanlingの最近のDAPはUSB Type-Cポート採用というのも、ケーブル収納の面で実は結構面倒な問題ではありました)

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Shanling M2s × Mojo。USBケーブル収納が残念な感じに

USBポートからのデジタル出力/接続用にアユートからUSB micro B – USB micro Bの両L字ショートケーブルも発売されていたりするので、これを使うとケーブル自体もほとんど専用ケースに収まってしまいます。色々と理由はあるのですが、とにかくMojo出し用のプレーヤーとして扱い易さを考えるとベストな選択肢のように思えてくるのです。

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アユート取扱のUSBケーブルを使うと、収納もほぼ完璧

…そんなことを考えていくと、別にMojo出しするなら後継機のAK70 MKIIやその他DAPを購入する理由というのも薄れてきますし、結果的に初代AK70をそのまま使うということに現状なっています。AK Connectを利用すれば重ねたAK70+Mojoセットをポケットから取り出す必要も無くなりますし、今のところAK70 MKIIやその他AK DAPを買う意欲が起きず、特に予定もありません。

AK70は、これからもしばらく使い続けそうな気が

色々理由があるのですが、総合的にみて不満が出てこないので初代AK70はいまだに使い続けています。一応海外サイトを見るとAK70 MKIIをMojoに重ねる専用のケースも発売されているようなのですが、流石にそれだけだと(DAPを単体利用しない限りは)AK70 MKIIを購入する理由には全くならないので、おそらく初代AK70はこれからもしばらく使うんだろうなあ、という気が。

Mojoを持ち運ぶためのトランスポートDAPを買っては替え…を繰り返している方は、色々便利で不満が出なかった初代AK70に戻ってみるというのはありだと思います(今は価格も安いですしね)。

(購入)