【レビュー】AKG Q701、クインシー・ジョーンズ監修モデル

akg-q701-review1イヤホン・ヘッドフォン

AKG(アーカーゲー)から2010年に発売された開放型(オープンバック型)のヘッドフォン「AKG Q701」をレビューしていきたいと思います。

AKG Q701と言えば米音楽プロデューサーのQuincy Jones(クインシー・ジョーンズ)監修モデルで、K700番台のシリーズはいくつか製品が出ていますが、このQ701が好きな方も多いかもしれません。

すでに生産終了品となっているので今後700番台のQシリーズはどうなるのかなと不思議に思うところもありますが、在庫分も中古分も数年は出回るでしょうし、他の開放型ヘッドフォンとも比較しながらチェックしていきます。

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AKG Q701 レビュー

AKG Q701は、クインシー・ジョーンズ監修モデルとして2010年に登場した開放型のオーバーイヤー・ヘッドフォン。発売時期としては少し古いですが、未だにHARMANの公式ストアで販売されいるロングセラーの製品です。すでにAKG Q701は全カラー生産終了にリスト入りしているので、現在出回っている在庫や中古のみです。

AKGとしては、Q701はセミオープンタイプということになっています。

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ヘッドフォンはスマートフォンなどの電子製品と違って売れるモデルは次の製品が発売されるまでのサイクルが長かったりしますが、Q701は2010年に発売されて、今まで後継モデルが出ていないです。それだけ現行の製品に満足しているユーザーが多いということなのかもしれません。もしくは、700番台のシリーズにもK701、K702(Pro)、K712 Proなど様々あるので、選択肢が多いということも関係している可能性がありますね。

Quincy Jones監修モデルということで、AKG Q701にはハウジング外側にQロゴ、ヘッドバンド上部にQuincy Jonesの文字、ステッチにはライトグリーンのアクセントが。

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Quicny Jones監修モデルはHARMANグループでいくつかあり、他には高級モデル「AKG N90Q」、JBLからはBluetoothヘッドフォン「JBL E55BT Quincy Edition」が登場しています。

そう言えばAKG N90Qには娘のKidada Jones(キダーダ・ジョーンズ)がデザイン面で関わっているらしく、よくよく考えてみればQuincy Jones本人はもちろん、家族もエンターテイメント関連では活躍しています。Rashida Jones(ラシーダ・ジョーンズ)も女優として映画からTVコメディまで様々な作品に出ていますし、自然と多方面でジョーンズファミリーの活躍を見ることが多いですね。

Parks and Recreation – Tom's Apartment (Episode Highlight)

(SNL時代のAmy Poehlerが好きで米コメディ”Parks and Recreation”を観ているのですが、ラシーダ・ジョーンズも出演中)

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ヘッドバンド(コブあり)

700番台のAKGヘッドフォンは製品デザインに共通点が多く見た目はほとんど同じですが、いくつか異なる点もあります。ヘッドバンド部分はAKGヘッドフォンに代表されるようなエラスティックバンドが採用されていますが、頭部にあたる部分は所謂「コブあり」。

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コブありとコブなしのモデルでまたひとつ意見は分かれそうですが、いずれにせよ(少なくとも筆者の頭には)頭部にバンドがあたって支えるような構造なので、ある程度横の側圧で頭に固定されるSennheiser HD800/HD700などのヘッドフォンの方が、つけ心地は良いと感じます。好みの問題ですね。

AKGのヘッドフォンはK550MKIIIもそうですが、頭部に当たるのが気になる製品が多いです。長時間利用する機器となるとこういった部分の装着感はやっぱり気になるのですが、IEMでは有名なCampfire Audioの密閉型ヘッドフォン「Cascade(カスケード)」も頭部があたって木になるので買い渋り中だったりもします。

…音は良くても装着感の悪さから手放したヘッドフォンというのも過去にいくつかあるので、エラスティックバンドを切ったり貼ったりでAKG 700番台のヘッドフォンの頭部問題を改善したい気持ちも何となく分かります。ただ音は好きなので無理して使うパターンもありますし、難しいものです。

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ケーブル

ケーブルは左出しで着脱OK。ヘッドフォンにつなぐ側は3pin、ケーブルは3mと6mの2種類が付属し、プレーヤー/アンプ側につなぐ端子は3.5mmステレオミニ端子。現在利用している環境では6.3mmジャックなので、変換アダプタを利用しています。

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着脱可能なのでリケーブルも簡単ですし、AKG純正で6N OFCの「C200」もあります。純正・非純正含め、長さや素材の選択肢は多いかと。

バランス駆動用にはQ701本体の改造というか加工が必要なので、特に今後も行う予定はありません。Mod動画がYouTubeに出ていたりするので、改造関連はそのあたりを参考にすると良いかもしれません。

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イヤーパッド

イヤーパッドはベロアっぽいといいますか、ファブリック素材のそれで、似たようなイヤーパッドを採用しているAKG リファレンスシリーズのヘッドフォン同様そこそこ快適です。イヤーパッドは軽く捻ると取り外しができる構造なので、痛んできたら交換も簡単です。

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形状の異なる非純正のイヤーパッドもたくさん販売されていますし、K700番台のヘッドフォンとは互換性のある製品が多いので、変えてみるのもありかと。全体的な装着感で言えばHD700/HD800が好みですが、AKG 700番台の純正イヤーパッドもそこそこ快適ではあります。

ちなみにスピーカーユニットとイヤーパッドの間にはインナースポンジがありますが、この間に挟まれたスポンジを外すと低域がさらに抑えられてかなりスッキリした印象の音色になります。Q701はもともと明るさがあるせいか、これを外した音は軽すぎて破綻気味なので、あまりオススメはしません。

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AKG Q701の音質と比較

AKGの開放型ヘッドフォンというと高域が綺麗な印象があったのですが、Q701も高域がいくつかの曲を聴いたときに目立って良いです。低域の量感が最も印象的なHD650ほどとは言わないまでも、Q701はK701やK702よりも低域が強調されているような。

(Sennheiser HD650との比較)

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ユーミンのアルバム「U-miz」収録版の「真夏の夜の夢」を”最近こういう歌詞って減ってきたような気もするな…” なんて思いながら聴いていたのですが、ボーカルが意外と前に出てきます。School Food Punishment「beer trip」やその他ロック系、ポップスも聴いてみましたが、K701/702と比較するとQ701はほんの少し暖色系に聞こえます。聴きやすさだけ言えばQ701を個人的にオススメしそうです。ただ全体的な音色は暗さがなく明るめの傾向で、その辺りはAKGっぽさを感じます。

JAZZではジョン・コルトレーンのアップテンポなサックスが軽快な「Giant Steps」、頭がドラムソロから始まり、4分過ぎたあたりから激しさを増すA Love Supreme「(Part III)Pursuance」、クインシー・ジョーンズということでヘレン・メリルの歌声が美しい「What’s New」などを聴いてみました。

(AKG K7xxとの比較)

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K702というよりは、どちらかと言えばAKG K7xxに近いような。かつHD650級までウォームでもないので、そういった意味ではバランスが良いです。モニター用としてもHD650よりは向いていると思います。

AKG Q701は音場が広いというレビューをよく見かけるのですが、個人的にはSennheiser HD700の方が全体的にスムーズかつ自然で、立体感なサウンドステージもHD700の方が上に感じています。開放的な抜け感も備えており、個人的な好みで選ぶなら、Sennheiser HD700のほうが好み。例えばヘレン・メリル「What’s New」でもボーカル部分でHD700のほうが明らかに潰れずにスムーズです。

HD700と比較すると、AKG Q701は「張ってる」感覚を覚えるんですよね。音場の広さや表現力的なところで、HD700の方が自然に聴こえるのがおそらくの理由です。他の曲でもHD700のほうが全体像を捉えやすいですし、曲が盛り上がるところのボーカルの滲み的な感覚も、HD700にはありません。

…ただ、sennheiser HD800番台になるとまたサウンドステージの表現力が一段も二段も良くてHD700とも別物なんですよね。ここまでくると音質の好みと価格を天秤にかけて選ぶしかありませんが、個人的な意見を言えばHD700、予算が許すならHD800をオススメしたいところです。ちなみにHD800も生産終了になるそうで、世代的にはもうHD800 SやHD820かとしみじみ感じます。

(Sennheiser HD700との比較)

sennheiser-hd700

最近SONY MDR-Z7M2も買って聴いているのですが、開放型と密閉型の違いもあるのか、AKG Q701のほうが全体的に明るい印象です。ただボーカル帯域の良くコントロールされた部分や空気感でいうと、MDR-Z7M2のほうが良いなと感じることが多いですね。

初代MDR-Z7は独特の定位感と低域で個人的にも色々と言うのが難しかったのですが、2代目のMDR-Z7M2はびっくりするくらいバランスが良くなっていて、密閉型のヘッドフォンとしては最近良く使っています。MDR-1AM2といい、2代目でSONYが目指しているサウンドが結構変わっているような気がして、良い意味で面白いです。

Miles Davis「Fran-Dance」なんかを聴くと、管楽器の高く抜けていく心地良さはやはりAKG Q701のほうが良かったりします。MDR-Z7M2も密閉型のヘッドフォンとしては広さを感じますがやはりヘッドフォン内というか、小さなルームに収まるような音像感覚です。全体の空気感・雰囲気はMDR-Z7M2が良いですが、外まで抜けていくような閉塞感のなさは開放型であるAKG Q701の良いところですかね。…MDRZ7M2は一応密閉型で(サイズ・重量はありますが装着感は良くなったこともあって)近場なら外出先でも使えたりしますが、AKG Q701は音漏れで無理なので、そもそも使い方が違うのであまり比較にはならないかもしれません。結局、ヘッドフォンは用途や頻繁に聴く曲に合わせて使うべきということを再確認。

あと、AKG Q701は所謂音量が取りにくいヘッドフォンとの1つとして認識されているような気がしますが、確かにヘッドフォンアンプに繋いでみても、インピーダンス 150ΩのSennheiser HD700と比較しても少し音量が取り辛いです。

なぜだろうと思ってハーマンインターナショナル(AKG)のホームページを確認してみると、感度が150dB SPL/Vの表記でした。Q701のパッケージには93dB/mWと書いてあります。HD700の表記はdB/mWのようなので、

  • HD700:150Ω、105dB/mW
  • Q701:62Ω、93dB/mW

ということになるはずです。それで計算すると、AKG Q701の方がパワーが必要になるようなので、HD700と比較して予想していたよりも音量を取り辛いというのもなんとなく納得。もちろん仕様だけではない特有の鳴らしにくさみたいなものもあるのかもしれませんが。

もちろんこれは「どのヘッドフォンアンプに繋いで出力するか」で変わると思いますし、音量だけでなく「適切にドライブできるか」みたいなところもまた別問題かと。また「どのような状態が”ドライブできている”と言えるのか」みたいな基準も人によって違いますし、つまるところヘッドフォンアンプとの組み合わせ次第と言いますか。DACアンプを買い換える機会があれば、また試してみたいところです。