【レビュー】SONY MDR-1A再考。PHA-3とのバランス接続も試す

SONY MDR 1Aは2014年に発売されたソニーの密閉型ヘッドフォンで、ソニー好きなら欲しくなりそうな音質傾向と装着感の良さ、そしてヘッドフォン入門者にも優しい価格とどこの家電量販店にも置いている買いやすさがあって、いまだに人気のあるモデルかと思います。

発売当初購入した時は海外行きまくりでアンプもプレイヤーも正直邪魔だという気持ちがあったのでスマホ直刺しで当時は微妙だなあと感じた記憶があるのですが、ようやく1年ほど住むところも決まったことですし、ヘッドフォンもしっかり環境を整えていこうということで、2017年の終わりにPHA 3とのバランス接続が可能なSONY MUC-S12BL1と共に新品で再購入してみました。

一応密閉型の上位モデル(最上位はMDR-Z1Rなのですが)であるMDR Z7もPHA 3とバランス出力して聞いていたりするので、その辺りとの違いも再考しつつ、MDR 1Aをレビューしていきたいと思います。(購入:Amazon.co.jp)

SONY MDR-1A 再考レビュー

すでに冒頭で書いた通りですが、今回はSONYの密閉型ヘッドフォンMDR-1Aのレビューです。「再考」ということで色々あるのですが、

  1. PHA-3を持っているので、まともなポタアンで聴ける環境になった
  2. PHA-3は3.5mm L/Rでバランス接続ができるので、変化をレビューしてみたくなった
  3. MDR-Z7も持っているので、それぞれのメリット・デメリットを比較してみたくなった

という、主に3点です。聴く音源の相性で良し悪しはあるとして、価格的にも手を出しやすく、必要であればバランス接続も手軽に(!?)できるアップグレードが用意されているので、そのあたりを確かめてみようと思います。

まずはMDR-1Aに感じている基本的な部分

まずはじめにですが、 基本的な傾向として、SONY MDR-1Aは低域好きのドンシャリ系ヘッドフォンかと思います。シャリ部分は弱な気がしますが、もろにソニーらしさが出た密閉ヘッドフォン、エントリーモデル(ソニーのヘッドフォン価格帯でいうと、ミッドレンジとも言えるのかな?)というのが今までの個人的な印象で、それはこれからも変わらないと思います。

よく隣に並んでいる似たような価格帯のaudio-technica ATH-MSR7なんかと比較するとその違いは歴然で、量感のある低域成分がいらない方は、予算が同程度ならこの辺りを検討した方がよっぽど幸せになりますね。まあリケーブルしたい方はまた別なのですが。

色んな価格帯・音傾向のヘッドフォンがあるので一概に解像度がどうとかいうのも難しい気がしますが「国内で販売されているこの価格帯のヘッドフォン(2万円前後)」というところで考えると、次に紹介する装着感も含めて、買いたいと思える解像感は保っているのかと。

単色デザインが特徴的な「h.ear on」シリーズの有線ヘッドフォンMDR-100Aや新モデルのMDR-H600Aと比較すると、音質的には雲泥の差でMDR-1Aの方が良いです。なので、デザインが好きとか着け心地が好きとか、そう行ったことでない限りこの辺りのh.ear onエントリーモデルはあまりお勧めできないような気がしていて、少なくとも音質面ではこれらのカジュアル路線のモデルは買わなくて良いでしょう。もちろんワイヤレスになると話は別なのですが。

有線アンバランス出力でh.ear onエントリー機はかなり残念な感じなので、MDR-H600Aもバランス接続可能ですが、特にしたいとも思えないですね。この辺りと比較すると、とりあえずMDR-1A買っとけば幸せという感じです。

…1Aに話を戻すと、装着感が抜群にソフトで、締め付けもそこまで強くないのは長期的に人気が出ている理由なのかなという気がします。筆者自身もMDR-1Aの装着感に関しては、軽さもありますし、ライト利用も可能な密閉型ヘッドフォンではトップクラス。

もちろん室内でも利用可能ですが、そもそもケーブル長も1.2mですし、外出時に気軽に持ち出して聴ける、それも長時間つけていて楽ということは、大きなメリットに感じます。価格に関しては感じるところは人それぞれかと思いますが、2万円前後(今は量販店で値切っても新品2万くらいで買える)で買えるならラフに使っても良いと思う値段でありますし。

…という感じで、一度1Aを手放した筆者ですが、長期的に売れている理由も国内では納得ですし、また使ってみようと今回思った不思議な魅力があるんですよね。もちろん家でがっつり音楽に浸る時にはもう少しずっしりした価格が上のヘッドフォンを使ったりするのですが、室内外でガンガン使うというヘビー利用としてのヘッドフォンを考えると、MDR-1Aは結構優秀だったりすると思うのです。

PHA 3とのアンバランス出力

今回は再考でタイトルにはバランス接続を試してみるという感じなのですが、まずはSONY PHA-3とアンバランス接続で試してみます。

個人的には音の鳴るヘッドフォン・イヤホン自体に投資するのが一番良いと思うのですが、やっぱりエントリーモデル過ぎる激安DAPやスマホ直挿しでは限界を感じるところがあります。

最近ではGRANBRATという変態スマホや、クアッドDAC搭載のLG V20/G6/V30、AK4490搭載のZTE AXON 7が出てきたりとハイスペックを中心に音楽再生にも特徴を持ったモデルが次々出ているので、ポタアンやDAPを利用しなくても良い音を楽しめるようになってきたのかなという感じはしますが、最近のiPhoneにLightning – 3.5mm端子用アダプターをつけて聞いてみたり、ミッドレンジのAndroidスマートフォンに繋げて聞いてみたりすると、やっぱり雑味、歪みというところは感じてしまうので、そこでやっぱりパワーもあるポタアンや、ということに個人的にはなります。

デジタル接続してしまえば、個人的にトランスポーターはそこまで気になりませんし(デジタル接続での接続方法の違いやトランスポーターの違いまで踏み込むと個人的にもわけがわからなくなるので、そこはもう踏み込まないようにしています)、安めのスマホを直挿しした時とPHA-3を通した時を比較すると、アンバランス出力でもさすがに雲泥の差があります。

ということで、PHA-3のアンバランス出力との組み合わせなのですが、PHA-3が優秀なのか、元気かつ、元々デロっとしていた中低域が、キリッとする感覚。個人的にPHA-3は優秀だと思っていて、DAPでノイズが多い機種でもとりあえずPHA-3をかませておけば安心や、という気持ちがあるので、MDR-1Aで利用した場合にも、それがアンバランス出力であっても良いです。SONYは自分のブランドと合いやすい組み合わせで設計しているのか、MDR-1Aとは合いますね。

もちろん、PHA-3がポータブルとしては音が良いですがそこそこの値段になるので、ライトユーザーが奮発してMDR-1Aのために買うかというとちょっと微妙かもしれないです。MDR-1Aは軽くて外にもガンガン持ち運べますから、正直大きめのPHA-3と一緒に持ち出したくないというのもあります。室内なら良いのですが。

話を戻すと、それなりのDAC搭載アンプをかませれば音質の明瞭さはアンバランス接続でも明らかに変わりますが、モバイル機器、例えばスマホ単体でも普通に鳴らしやすく、携帯性や装着性も優れているというのがMDR-1Aの良さかと思うので、この辺りのメリットを損ねてまでポタアンを持ち運ぶというのはあまり考えたくないところではあるので、MDR-1Aに限って言えば、外では良いDAC搭載のスマホや、それなりに小型のウォークマン NW-A40シリーズとかでも良いと思うところも一応付け加えておきます。

むしろDAP直挿しで納得できないなら、多分MDR-1A自体が合わない可能性があるので、そこはもう同じ価格帯で探すならaudio-technica ATH-MSR7とかをとりあえず聴いておくと良いでしょう。なぜなら家電量販店でいつも隣に置いているから…

バランス出力も試す

次にバランス出力を、SONY MUC-S12BL1PHA-3で試してみます。

先に言っておくと、MDR-1Aは元々ポータブルでの利用も想定されているからか、MDR-Z7のようにPHA-3とのバランス接続用のケーブルというのは付属しません。

ですので、今回のように「PHA-3」とバランス用「MUC-S12BL1」ケーブルを一から購入すると結構な出費になるので、結論このセットで明瞭さが増して音は良くなったと感じますが、コスパ面で考えるとお勧めはできないかもですね。

例えば筆者のようにすでにMDR-Z7とPHA-3オーナーであればMDR-1Aに「MUC-S12BL1」を買い増してリケーブルするだけで済みますが、すでに言ったようにMDR-1Aは価格面・モバイル性にメリットが大きいので、ここまで一から1Aのために揃えるかといえば微妙かもしれません。

MDR-1Aの良さを損なわずにバランス接続ということであれば、4.4mm5極でバランス接続に対応しているウォークマンとバランス対応別売ケーブルの組み合わせの方が、ポータブル性の面で幸せになれるとは思います。もちろん、こちらも出費はそれなりにかかるのですけどね。個人的にはPHA-3の3.5mm×2バランス出力は最近4.4mm5極を採用しているSONYが過去の遺産にするんではないかなと勝手に思っていて(違ったらすいません)、その点でも今後MDR-1Aを外でも室内でも利用するなら、4.4mm5極バランスに対応したSONYのDAPとの組み合わせが良い気がします。

最近はミッドレンジでSONY ウォークマン「NW-ZX300」(操作性良いしカッコ良いですよね。独自のデジタル/充電ポートはそろそろやめ欲しいですが)が出てきたりはしているので「MUC-S12NB1 (4.4mm5極用)」でリケーブルして使うとポータブル性を維持しつつバランス接続のMDR-1Aを楽しく聴けそうです。

…というところも含めて、今回はとりあえずMDR-1A < MUC-S12BL1 < PHA-3 < トランスポーターでの再生なのですが。ボワっと傾向のあった低域が少し明瞭になって、分離の良さを感じます。MDR-1Aのレビューでよくみる曲によっての低域の微妙な感じ(根本の傾向が好きでないなら、1Aは買わない方がハッピーかと)がより明快になり、これなら環境さえあればバランスの方が良いね、リケーブルまで出費OKなら買っても良いかもね、という感覚でした。もちろんこれはバランス出力によって変わるところがいくつかあってのことなので、音量も感覚値でしか戻せませんし、個人的には良いと思いますが、他の方がこれを良い音になったと感じるかは微妙かもしれないことも付け加えておきます。

MDR-Z7と比較すると、バランス接続のメリットはわかりにくいかなというところも感じます。というか個人的にそもそもZ7はバランス接続ありき、あわよくばKIMBER KABLE協力開発のケーブル(MUC-B12BL1)を利用しろという感じなので、

MDR-Z7は元々バランス接続で楽しめという感じがしていますし、Z7の広さや表現の仕方のそれと比較すると、MDR-1Aのバランス接続による変化というのは結構変わっているという感じでもないかもしれません。まあ音の大きな方向性というかSONYブランドとしてのイメージはMDR-Z7も同じなのですが、そもそもMDR-Z7は基本的に聴く音楽の種類とターゲットが違うような気がしていますので、個人的には長時間利用も快適なMDR-1Aの方がハッピーです。

お金をかけなくても幸せになれるヘッドフォンじゃなかろうか

しつこいようですが個人的な意見で「コスパ」「装着感」「モバイル端末でも楽しめる仕様」みたいな部分も含めてMDR-1Aの人気は納得できるところがあります。

ですので、こういったポータブルアンプやバランス接続用のリケーブルを行わなくても、MDR-1AとそこそこのDAPだけで十分楽しめるユーザーというのは多いような気がしますね。どのラインまでお金のかけ方と音質で納得できるかという部分が個人的には重要だと思っているので、1A単体でハッピーなら、それはそれで良いんじゃないでしょうか。(もちろん、個人的にMDR-1A単体では明瞭感や分離感の部分で少しだけ納得できない部分もあったので、今回バランス接続を試したということでもあったのですが)

今回はバランス接続も試しましたが、分離感や明瞭さは増したとして、MDR-1Aの本質的な傾向というのは、ポタアンを変えたり、DAPを変えたり、無理やりイコライザーで調整したりといったことがない限り、基本的な音質傾向というか鳴らし方の方向性は変わらないです。

もしバランス接続へのリケーブルやアンプの変更でも、自分の求める音質に到達できる見通しが立たないなら、そもそもMDR-1Aというヘッドフォン自体が合っていない可能性はありますし、もしそうであるなら、ヘッドフォン自体を売却してしまって、別メーカーのヘッドフォンに行った方がよっぽど幸せかと思います。

…とまあ、色々思うところがあるのですが、今回PHA 3やその他アンプへの接続、バランス出力で聴いたみたり、より上位モデルのMDR-Z7なんかとも比較してみたところで、MDR-1Aの良さを再認識できたような気がします。結構使っているうちに手放したくなるヘッドフォンて多いのですが、MDR-1Aは装着感・モバイル性・価格・音質のバランスが良くて、必要であればバランスなどアップグレードできる環境もSONYから用意されていて、なるほど、これは良いね、やっぱり家電量販店の多くで取り扱ってるだけの人気じゃないなあというのは突き刺さるように感じました。(ぶっちゃけどこでも置いてるから購入者の絶対数が多いだけだと思っていましたが、おそらくそれだけではないというのがとりあえずの結論です)

結論、コスパを考慮してのSONYヘッドフォンとしては、MDR-1AはSONYヘッドフォンの中ではピカイチです。SONYの音作りが好きで、かつ迷ったらとりあえずMDR-1Aを買っとけ的におすすめしておきます。もちろん好みの問題なのですけどね。(個人的にはそんなにSONYの音作りが好きではありません。)

購入:SONY MDR-1A