【レビュー】SHURE SE535 LTD-J、赤い彗星な感じのイヤホンを聴く

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SHURE SE535 LTD-Jの購入レビューです。SE535 LTD-JといえばSpecial Editionとか言われている、もともとあったSE535の派生モデルです。本体カラーはレッドが採用されており、音質チューニングも少し異なるようなのでその辺りを比較してみます。

レビューを書いている時点の価格が5万円程度なので、ひと昔前ならこれでも結構価格の高いイヤホンという感じでしたが、現在はむしろエントリーモデルくらいな価格になっており競合も多いところです。それでもシュアらしい良さがあったりするので、ちょびちょび感じたことをメモしていこうかと思います。

SHURE SE535 LTD-J Special Edition レビュー

シュアといえば米国のオーディオブランドですが、SEシリーズは遮音性とその音質で不動の人気を誇るイヤホンです。ハイエンドなコンデンサー型イヤホンのKSE1200KSE1500を除けば、SE846が出るまではこのSEシリーズでもフラグシップモデルだったのがSE535で、今回レビューするのはその派生モデルのSE535 LTD-Jというイヤホンになります。

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SE535 LTD(Special Edition)は、SE215 SPE⇄SE215と似たように、オリジナルのSE535とは異なるチューニングが施されており、先に発売した無印SE535とは少し傾向も変わってくるイヤホンです。とはいってもSE535の音質や傾向から大きく変わるものではないので、あくまで兄弟機種といった位置付けになっていると思います。

SHURE SE846が2013年に発売するまではSEシリーズのフラグシップ・モデルというのがこのSE535、SE535 LTDだったわけですが、現在は発売から5年以上経過していることもありますし、古いモデルとも言えます。逆を言えばそれだけ長く売れ続けているロングセラーのモデルかと思うので、名機の1つとしてのSE535 LTDというのは大きな存在です。

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デザインはSHUREのSEシリーズらしいというかそのままの外観で、日本では”SHURE掛け”みたいな言葉もありますが、SE535 LTD以下のSE215、SE215-SPE、SE315、SE425と同じく装着感は良好です。

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実はサイズ感もSE535シリーズより下位モデルと比較して、ほとんど変化がないのも特徴です(SE846だけ少し大きいです)。SE535 LTD-J自体は高精度トリプルMicroDriverを3基ずつ片側に搭載しているのですが、サイズ感が変わらないところは良いですよね。

特にSHURE SEシリーズの場合はユニバーサルIEMでありながらその装着感と遮音性が重要な購入要素になる気がするので、サイズが下位モデルと同等に抑えられているのはメリットです。

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(左からSE215、SE215 SPE、SE535 LTD)

LTD-Jはレッドボディを採用しており、少し濃いめというか暗めの赤です。少し光沢も感じる表面になっているので、個人的にもSEシリーズはこの色かクリアシェルがおすすめな気がしています。

逆にケーブルがライトグレーに変更されているのは個人的に微妙なんじゃないかとも感じており、普通にブラックのケーブルで良かったんじゃないでしょうか。またケーブル長さが117cmなので、少し短く感じる人もいそうです。

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SHURE SEの他のイヤホン同様MMCXコネクターとなっており、リケーブルも可能です。最近はBluetoothケーブルやLightningケーブル、USB Type-Cケーブルが付属したパッケージも発売されていたりしますし、「RMCE-BT1」を別途購入するだけでワイヤレス化はできるので、遊べる選択肢は広いのかなという印象。

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SE535  LTD-Jの音導管は、いわゆるSHUREの細いやつです。今まで利用していて特に問題は感じませんが、SE846にある交換式ノズルインサートによる周波数カスタマイズ機能は、SE535シリーズにはないので、この辺りは最上位モデルと比較して微妙なところですかね。

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 SE535 LTD-Jのイヤーピースについて

SHURE 535  LTD-Jには、数種類のイヤーピース(シュアで言うところのイヤパッド)が付属しています。弾丸型のソフトフォーム×3セット、ソフトフレックス×3セット、また柔らかいイエローフォーム×1セット、トリプルフランジ×1セットも付属するので、そこそこ豪華です。

…とはいっても最近はこの価格帯でこれよりも豪華イヤーピースセットが付属するイヤホンがあったりはするので、2018年と考えるとかなりシンプルな付属品と言えるかもしれません。

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個人的にSHUREは弾丸のソフトフォームを使ってなんぼな気がするので、そちらを利用しています。遮音性の高さも秀逸です。コンプライでいうと100シリーズが適合するので、付属イヤーピースが合わない方はこちらも見ておくと良いかもしれません。

他の付属品も見ていくと、6.35mmのプラグアダプター、レベルコントローラー、航空機内用アダプターなんかも付属します。

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ケースはSE215のそれなんかより少し良いもの(硬さがあるのでよりイヤホン本体を守れそう)なキャリングケースが付属します。

SE215シリーズはカラビナが付いていたりするので外でカバンやベルト穴につけてガンガン使ってくれという感じのカジュアルタイプでしたが、SE535シリーズの場合は値段が値段ということもあって音質重視で使って欲しい意図がありそうな付属品です。

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ノイズについて

SE846は高感度で組み合わせによってはノイズの乗りやすいイヤホンですが、個人的にはSE535、SE535 LTDも3BAにしてはかなりノイズが生じやすいイヤホンであると感じます。

iPhone  Xに付属ドングルを利用して直挿しだとかなり厳しいですし、エントリーモデルのDACアンプだと、例えばFiiO Q1 MKIIなども厳しいような気がしていて、ノイズに関してはシビアな機種のように思います。

あくまで個人的な意見なのであれですが、購入後他の試聴機や友人のSE535シリーズを聞かせてもらっても同様だったので、ある程度のスペックがあるDAPやポータブルアンプと組み合わせるのが良さそう。ある意味では鳴らしづらさとも言えますが、まずは試聴をお勧めします。

SE846以外はわりとカジュアルに使っても良いのかなと個人的には思っているのですが、プレイヤー選びが少しシビアになるのは気になります。

音質、SE535 LTD、SE535、SE846の比較について

SE535をベースにしているのがSE535 LTDですが、基本的な音の傾向というのはそこまで差がありません。

SHUREのSEシリーズというとどれも低域の豊富な量感と中域の存在感が魅力なわけですが、SE535 LTDは高域がより華やかになったというか、聴きごたえのあるサウンドになった印象です。SE535自体は中低域に重心がありSE535 LTDも同様で、SE535 LTDはVシャープのような派手な高域という訳ではありませんが、やはり高域の部分に違いを感じるので、ほんの少しだけ華やかが増した、という微細な違いのみに感じます。

SE846との比較では、SEシリーズに共通の低域のリッチさは共通しつつも、全面的な解像度でいうとSE846が上に思います。この解像感からくる音像の立体感みたなものもSE535シリーズと比べると広く大きいのですが(それでもイヤホン全体で見ると特別に広いという訳ではない。もともとSEシリーズは狭い気がするので)、SE535シリーズと比較すると全体的な音はもっと優等生な印象でかっちりしており、535 LTDみたいな少し楽しさもあるチューニングというよりは、上位モデルのどっしり居座った自信というか、音の解像度やバランスで勝負している感じはあります。なので音質だけでいうとSE846へアップグレードした方が幸せですし、価格なりの差みたいなものはあります。

SE535 LTDは個人的にロックやポップスにも良いと思っていて、中域がしっかりしているのでボーカルものもいけますし、低域に乗るので聴いていてリスニング向きな楽しさもあります。ただ高域に特徴があるといっても基本は中低域に重心のあるSE535シリーズですから、個人的にはキラキラ系な曲というのはあまり向いていないのかな、という気持ちです。

中低域に押し出しがあるので女性ボーカルのJAZZなんかも行けるかなとははじめ思ったのですが、よくよく聴き込んでみるとSE846と比較して空間表現に欠けているところはあって、空気感の演出みたいなものがSE535 LTD(というかSE846以外のSEシリーズ全て)はあまり得意ではない、近いので、結論単純に音質でいうならほとんど全ての面でSE846をおすすめしそうな感覚です。

もっとも価格がSE846よりは安いというのもありますが、ここ数年はハイエンドイヤホンも種類が増えて、5万円ですらエントリーモデル、10万円付近はミッドレンジ、10万円以上からようやくハイエンドみたいな感覚の人も増えてきているような気がします。そう考えると現在はかなり手を出しやすい価格とも錯覚を覚えるので、ある意味ではこの遮音性と音質・価格のお手頃感というのはあったりもするような。

もちろん5万円付近、それ以下ですとqdc NeptuneSIMGOT EN700 Proなど最近は中国勢のコストパフォーマンスに優れたモデルが多いのも事実ですし、最新モデルではJH Audio × Astell & Kernブランドから発売されているThe SIREN SERIES Michelle LimitedBille Jean、価格が下がってきている AZLAのAZLAHorizonなどなど、ダイナミック型1発からマルチBA、ハイブリッドまで面白い選択肢がたくさんあります。

その中からあえてSE535 LTD-Jを選ぶ理由があるとすれば多分それはやっぱりSEシリーズの特徴である中低域の存在感であったり、SHURE独特の装着感や遮音性といった部分が差別化要素になるのだと思います。そこを重視しないのであれば他社ブランドもみておくと楽しそうですよね。もしくは手頃な価格はあまりありませんが、カスタムIEMとか。

SE315とSE425はあまり魅力が感じないので除くとして、最近は「カジュアル用にSE215」「音質とコスパでSE535 LTD」「価格度外視ならSE846」というのが個人的なSEシリーズ内での感覚です。予算に余裕があるならDAPやアンプ環境が整っていれば間違いなくSE846ですし、コスパを考えるとSE535シリーズもありなのですがこちらもノイズに関しては結構シビアなので、選ぶのは難しいところです。