【レビュー】Noble Audio Savanna、ユニバーサルIEMを聴く

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米Noble Audioから発売されているユニバーサルIEMのイヤホン「Noble Audio Savanna」を購入したので、しばらく聴いてみてレビューしてみたいと思います。

ノーブルオーディオといえば現在は株式会社エミライが日本での総輸入元になっており、ユニバーサルFitの最新モデルといえば「Reference family(リファレンス・ファミリー)」と、「Musical family(ミュージカル・ファミリー)」の2種類が展開されています。Savannaはというと、リファレンス・ファミリーのエントリーモデルといった位置付けです。

先代のKaiser 10(ユニバーサル)を聴いてからNoble Audioは非常に好きなブランドの一つなのですが、視聴して音が気に入ったSavannaもすごく良いので書いてみます。

Noble Audio Savanna レビュー

Noble Audioといえば”Wizard”ことJohn Moulton(ジョン・モールトン)氏の音作りやカスタムIEMではその唯一無二なデザインが特徴の新鋭米国IEMブランドだったりするのですが、ユニバーサルFitのモデルも多く発売しています。

今回レビューする「Noble Audio Savanna」は、一新されたユニバーサルFitシリーズの中でもRefarence familyに属する、価格的には一番安いエントリーモデルといった位置付けのイヤホンです(それでも記事を書いている時点で税込6万5000円程度はするので、安いかどうかという判断は閲覧者のかたにお任せしますが)。

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紹介した通りReference familyに属するSavannaですが、このリファレンス・ファミリーというのは「よりモニター的な」フラットな音質がベースというか、コンセプトになったシリーズです。逆にリスニング向けにはMusical familyがあるので、最初にいってしまうと癖のない明瞭感のある音を求めている方にはSavannaがすごく合うと思います。

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では現在のNoble audioでユニバーサルfitにはどんな機種があるかというと、以下のような機種があります。

(Reference family)

  • SAVANNA
  • SAGE
  • KATANA

(Musical family)

  • TRIDENT
  • DULUCE BASS
  • DJANGO
  • KAISER ENCORE

※上位モデルに関してはFLAGSHIP SERIES、それ以下はCLASSIC SERIESとシリーズ名が付いていたりするので、まああんまり気にせず音の好きなイヤホンを購入すれば良いと思います。

両シリーズの最新フラグシップ・モデルであるKATANAやKAISER ENCOREは両者新品だとユニバーサルFITでも20万円を超える価格なので、エントリーモデルであるSavannaが現在6万5000円程度で購入できるというのは、実はNoble Audioの中ではかなり手の出しやすいモデルであるともいえます。

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ドライバーは片側BA(バランスド・アーマチュア)型ドライバーが4基なので、左右合わせて8基のBAドライバーを搭載しています。一部のモデルには特注のNobleドライバーが採用されているとのことですが、Savannaに関しては不明。

今回もプラグは2pin仕様ですが、実は新しいモデルはケーブルが日本限定仕様の「マルチストランド構造・特殊コーティング処理済銀メッキ高純度銅導体タイプ」に変更されています。元々はブラックカラーのケーブルが付属していたのですが、音質アップのための特別仕様になっているのは面白いところ。

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“Ultra Thin Cable”と呼ばれるこちらのケーブル(他の国では別売りで買えるみたいなのですが)ですが、Ultra Thinというだけあって、かなり細いです。おそらく利用してきたIEMイヤホン用のケーブルとしては、一番細いのではないでしょうか。

正直いって細すぎるので、耐久性に少し不安を覚える部分があります。個人的にはブラックカラーの以前付属していたケーブルでも音は十分と感じていたので、オプションで販売するだけで良かったのではないかと思いました。

プレーヤー側はストレート型の3.5mm端子。そこから編み込んでいます。パッケージの付属品が3.5mm用のケーブルのみということは、まず2ピンでリケーブルがしやすいので自分で換えてね、といったところでしょうか。そう考えるとiriverとコラボしたJH AudioのSIRENシリーズが独自コネクタを採用したのであらかじめバランス用の2.5mm4極バランス用ケーブルを付属しているのも納得ですし、各社製品によって事情はありそうです。

ケーブルといえば、実はNoble AudioのIEMはスマートフォンなどそれなりのプレーヤーでも鳴らしやすいように設計されているとのことで、確かにiPhone XやAndroidスマートフォンに変換ケーブルをかませて直接繋いでも、これまた十分良い音で楽しめます。前回のJH Audio ROSIEはスマホ直結がかなり残念な感じだったので、ここは個人的にNoble Audioの良いところかなと感じています。

特に自宅では完全にヘッドフォン、外出先ではかさばる荷物を持ち運びたくない人なんかには、すごく良いなあと。個人的にも自宅ではヘッドフォン、外ではなるべく荷物を減らしたいので、こういった部分がピンと来る方にもおすすめですね。

少し残念な点といえば、これだけスマートフォン単体でも鳴らしやすいIEMという利点があるにも関わらず、日本でLightning直結の別売りケーブルなどを取り扱ってないんですよね。実はMassdropで登場した「Noble X」という片側2BAの限定モデルはオプション+40USドルでLightning直結可能なケーブルを購入できたりしたので、ぜひこういった商品も日本で正規に販売してほしいものです。持ち運びたくない方にとっては、最近のiPhoneに付いて来るLightning – 3.5mmオーディオジャックの変換ドングルでさえ邪魔ですからね。

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(スマホで鳴らしやすいので、どうせならNoble XにオプションでつけれたようなLightning直結ケーブルなども販売してほしいと思うのは私だけでしょうか。)

宮地商会(宮地楽器)ではWAGNUS.コラボのケーブルが付属したバンドル商品も販売されています。ケーブルは受注生産になるらしいので、リケーブルしたい方はこの辺りもチェックしておくと良いかもしれません。

(宮地楽器で買えるバンドル商品のケーブル。価格がバカみたいに高くなるわけでもないようなので、リケーブルしたい方はみておくと良さそう)

JH Audio×Astell&KernのSIREN SERIESのように独自コネクタを採用していないので、メリットとしては好みのものへリケーブルが容易であること、デメリットとしてはコネクタの安定性などですが、Savannaの2pin自体はキツめでしっかり固定されているので、ガンガンリケーブルをしない限りは耐久性も問題なさそうです。音導管は2つ。

カッパーカラーの外側部分には「ジオメトリー・アルミニウム・フェイスプレート」が採用されており、単純にいうとアルミの金属製ということですね。王冠ぽいデザインの部分も綺麗に加工されており、値段なりに高級感はあります。JH Audio×Astell&KernのSIREN SERIESではフルメタルの筐体だったりするので、全体的なビルドでいうとJH Audioの方が高いのかなと。まあこの辺りは音がそもそも全然違ったりするので、好みの問題ですが。

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(カラーはSavannaのカッパー感が一番好きだったりします)

付属品も充実しており、エミライの保証書やNoble Audioの金属プレートの他に、まずはペリカンケースが付属します。頑丈ですね。中にはフォームタイプの遮音性優れたイヤーピース、シリコンタイプのイヤピース、ダブルフランジのイヤーピースなど、計4種類が付属。カラビナや、DAPとポータブルアンプを重ねる用のシリコンバンドも2つ、クリーニングブラシも付属したりと、十分豪華です。

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(ステッカーもあります)

丸型のプラっぽいキャリングケースと、ベロアっぽいキャリングポーチも。JH Audio ROSIEの時はメタル素材のキャリングケースが付属したので、付属品内容に関しては甲乙つけがたい部分。こういった部分も所有欲を満たしてくれる1つの要素ではあったりしますからね。

装着感・遮音性・音漏れなど

個人的な耳にフィットするという意味では、ユニバーサルフィットのJH Audio SIREN SERIESよりも、Savannaを含めたNoble Audioのユニバーサルフィットの方が好みです。色々思うところはあるのですが、Savannaの方が圧倒的に「楽」な装着感。

ハウジングというか筐体全体は以前レビューしたROSIEよりも小さく、SIREN SERIESは全体的に耳に思いっきり押し込んでかつケーブルの針金部分をうまく調整しないとイヤーピース部分が徐々に抜けて来る感覚がありましたし、そこまで耳に押し込んで利用したりすると、耳穴自体が結構疲れたりします。こういった筐体の形状から来る疲れみたいなものが、Noble Audio Savannaではなかったのは非常に好印象。

ユニバーサルタイプのIEMイヤホンというと「いかに耳にフィットしてくれるか」みたいな部分は特に重要だったりするので(というかどのイヤホン・ヘッドフォンでも重要なのですが)、快適さでいえば長時間利用するにはNoble AudioのユニバーサルFitの方がどのモデルも概ね良いですね。しっかりフィットすることもあって、遮音性も高いですし、音漏れも少ないです。

もちろんこれは個人の耳型によるので、まずは聴いてみた方が良いと思います。

Savannaの音質など

中高域を中心に、非常に聴きやすいです。片側4BAのドライバーを搭載ということで音のつなぎ目の部分も気になっていましたが、ネットワークの組み方が優秀なのか、解像度を保ちながらこれといった不自然さもないのも聴きやすさにつながっているのかなと。このスムーズさが、メーカーや輸入元が紹介している「リニアな特性」や「アコースティック・サウンドの再現力」というところに行き着く部分かと思うのですが、低域もタイトで解像感が高く、これまたCLASSICシリーズの中の「Reference family」らしく、フラットな特性が好きな方にはどストライクなIEMかと思います。

綺麗なつなぎ目としつこさの無いフラットな特性というのは4BAドライバーの構成が非常にうまく設計されているのかなと感じるところで、例えばROSIEなんかはもっとリスニング寄りで楽しい音色なのですが、ドライバー数が多いせいか多量の音数が耳に一気に入って来る圧力みたいなものがあって、そういった部分ではNoble Audio Savannaは真逆のところに位置していているように感じます。

Savannaは低域が非常にタイトなので、他の音域を邪魔しない感覚も良いところでしょうか。女性ボーカルは楽しめますし、かなり綺麗めのサウンドです。逆を言えばモニターライクで楽しさにかける部分はあって、それはもちろんリファレンス・ファミリーとして設計されている理由もあるでしょうし、もっと楽しさを求める人用にMusical familyを用意しているのも、ラインナップ全体としてもリファレンスファミリーのエントリーモデルとしてSavannaがあることは、Noble Audioがうまく住み分けしている部分な気がします。音場は広めですが立体感に欠ける気はしていて、これは多分低域の押し出しが控えめなフラット傾向のせいもあるのかなと思ってみたり。

今回DAP単体ではSONY NW-XZ300、Pioneer XDP-300R、FiiO X5 3rd、iPhone X、ポタアンありではChord Mojo、FiiO Q1 MKIIなどを通して聴いてみましたが、どれも鳴らしやすいなと感じる部分も良いところ。最近自宅ではヘッドフォン利用がほとんどになっている気がするので、外出先でスマホ単体やミッドレンジからエントリーモデルのDAP単体で十分楽しめる点はGood。実はSavannaだけでなくフラグシップシリーズのKATANAやKAISER ENCOREですらもスマホ単体で鳴らしやすい高感度として紹介されているので(これらはスマホ単体で十分聴き込んでいないのでわからない部分も多いですが)、この辺りもNoble Audioの方針というか、設計思想が感じ取れて面白かったりしますよね。どの環境でもある程度この音質が楽しめてしまうというのはメリットなので、ミニマル志向の方にもおすすめだったりします。

Noble Audio Savanna をしばらく鳴らしてみてのレビュー

リファレンス寄りの特性、装着感の良さ、エントリーモデルのユニバーサルFitとしての価格の安さから、一度聞いてみるとSavannaが好きになる人は結構いるんじゃないかと思います。筆者もその1人だと思いますし、何よりノーブルのIEMは鳴らしやすさが良いです。

今回SavannaのユニバーサルFitを購入して、Noble AudioというとCIEMsでWizardデザインが人気ですし、意外とユニバーサルタイプではなくカスタムでオーダーする人の方が多いのかなと思いました。個人的には価格帯でSavannaはユニバーサルでOKなのですが、KAISERクラスになると多分カスタムでオーダーするだろうなと(実はKAISER 10 Universalは以前持っていて、いつか余裕があればカスタムで作りたいと思ってます)。そう考えると結構ユニバーサルとカスタムの選択が難しいような気はしていて、それだけNoble AudioはカスタムIEMもユニバーサルFitも両方が魅力的である、という証のような気はします。

エントリーモデルでMusical familyにTridentもありますが、視聴体験からいうと同じ価格帯で楽しさのあるイヤホンというのは他にもたくさんあるような気がしているので、個人的にはSavannaがおすすめです。もちろんハイエンドモデルもあるので、とりあえず視聴してみると良いと思います。