【レビュー】SONY MDR-Z7、ふくよかです。PHA-3も試した

今回はSONYのヘッドフォン「MDR-Z7」をレビューしていきたいと思います。大きめのハウジングに70mmの大口径ドライバーユニットを搭載しており、エントリーモデルのh. ear onシリーズやMDR-1Aと比較すると、音場豊かに鳴らしてくれるミッドレンジモデルです。

ハイレゾ対応で100kHz再生というスペックも売り文句ですごいのですがそれは置いておいて、PHA-3などを利用すればSONYブランドで固めて付属バランスケーブルでのバランス接続、さらにケーブルにはKIMBER KABLE社協力で開発したアップグレード的なケーブルも用意されています。

ポータブル環境でこのあたりを揃えると(多分重いしでかいので室内用になるとは思いますが)全て揃えると15万円以上行くかと思います。個人的に多く聴く曲がロック系だったりするのでここに15万を投資する必要は全くないというのが結論ですが、音場表現の豊かな音楽を聴く方であれば、それはもしかすると購入するに値する金額かもしれません。

…タイトルにまんま当たり前のことをいってますが、ネット上のレビューなんかを見てるとそもそも別のヘッドフォンを購入した方が良いんじゃないかという人も多いと思うことがあるので、そのあたりも個人的な意見をずらずら書いていこうと思います。

(購入:Amazon.co.jp)

SONY MDR-Z7 レビュー

MDR-Z7といえば2014年に発売されたSONYの密閉型(一応)ヘッドフォンで、ソニーストアではレビューを書いている時点で5万5500円+税なので、約6万円程度で購入できるモデルです。オープン価格なので、購入ストアや中古ならもう少し安く手に入るかもしれません。

製品ラインナップとしては「MDR-Z1R」が約20万円+税で最上位モデルとして君臨しており(もっとも買う場所によっては17万円くらいになる)、その下にMDR-Z7が約6万円でミッドレンジモデル、エントリーモデルにモバイル環境でも楽しみやすいMDR-1Aが2万円~3万円くらいで販売されています。ですので、MDR-Z7自体はちょっとプレミアムなミッドレンジモデルのヘッドフォンと言えます。

それはデザインや素材にも現れており、シボ加工が施された本体外側、主張しすぎないSONYロゴ、人間工学に基づいた厚めのイヤーパッドなど、外観はプレミアム感が漂うデザインに。L/R両出しのケーブル接続部分から本体に繋がる曲線美は美しく、MDR-1A~MDR-Z1Rまである程度一貫したデザインが採用されているわけですが、エントリーモデルのMDR-1Aと比較すると、やはりMDR-Z7の方が高級感は上です。

70mm大口径ドライバーユニットとそのサイズ感からわかるように、ヘッドフォン本体はそれなりに大きいです。プレミアム感の出てくるような価格帯のモデルというのは例外あれどサイズの大きい機種も多いですが、MDR-Z7に限ってはみためとは裏腹に、実はコードを含まず約335gとそこそこ軽めです。大きなサイズと言えば 以前FinalのSONOROUS VIをレビューしましたが、こちらは480gだったので、それらと比較すると「このサイズ感にしては」随分軽いと言えるのではないでしょうか。…もちろんMDR-1Aと比較すると、そこそこに重いです。モバイル環境で使うなら、イヤホンもしくはMDR-1Aでしょうね。

ハウジングには通気孔が設けられており、このポートによって低域の通気抵抗を制御し、重低音のリズムを正確に再現するビートレスポンスコントロールがおこなわれているそうです。試しに塞いでみると音漏れが少なくなったり音の変化を感じます。

ヘッドフォン本体とケーブルの接続は3.5mmで両出し。また接続部分にはねじ止めが採用されており、ヘッドフォン側にしっかりとケーブルを固定することができます。

付属ケーブルにはセレーションケーブルが採用されており、片方は3.5mm端子1つでDAPやアンプに繋ぐタイプ、もう一つは3.5mm端子でL/Rで2つ繋いで、同じくSONYの上位ポータブルアンプ「PHA-3」などとバランス接続ができるようになっています。

つまりMDR-Z7とPHA-3を購入すれば、それだけで(とはいっても結構高いですが)もうバランス接続は使えるようになるわけです。また別売りでKIMBER KABLE社と開発された別売りケーブルにリケーブルすれば、アップグレードした環境でのPHA-3とのバランス接続ができますし、4.4mm5極の端子を採用したミッドレンジ以上のウォークマンと接続してのバランス接続が楽しむこともできます。(本当に3.5mm×2のPHA-3の仕様は、仮に後継機が出るとするなら4.4mm5極×1になるのかは気になるところですね…)

ヘッドフォンなどのスペックも一応紹介しておくと、再生周波数帯域が4-100,000Hz (!)でハイレゾ対応ということになり、インピーダンスは70Ω、感度は102dB/mW、70mmの大口径ドライバーユニットを搭載しているので本体もそこそこに大きく、ケーブルは約3mの銀コートOFC採用のものと、PHA-3などとバランス接続が可能な2mの銀コートOFC採用ものが付属します。

超広帯域再生を謳うスペックやハイレゾ対応といったところはともかく、サイズの大きさ、また音漏れもそこそこあることから、ミッドレンジのSONYとしてはプレミアムなヘッドフォンとして、自宅利用で楽しむことが想定されているのでしょう。

音に関してもそれが表現されており、密閉型としては少し広めな音場表現があり、その表現力もMDR-1Aと比較するとやはり一段上のヘッドフォンという感じに仕上がっています。もちろん、利用用途がちょっと異なるという部分はあるのですが。

気になるところも色々あるので、音質他、PHA-3との利用、バランス接続、ケーブルのアップグレードなど、ずらずらと思ったことを書いてみます。

基本的な音質傾向など

まずはモニター色はなく、リスニング向けの音質傾向。密閉型では広めな音場を活かしていますが、オープン型ヘッドフォンのような抜けと音場というわけでもなく、あくまで密閉型のなかで、という意味です。

量感豊富な低域に乗って出てくるサウンドは非常に滑らかで、この「密閉型では少し広めのサウンド傾向」「スムーズで量感のある低域」に関しては、MDR-1Aの窮屈さから解放されたような音で良いです。「滑らかな音」というイメージがしっくりくるかなという気がしており、刺さって耳にきつそうな曲目でもスムーズに鳴らしてくれるあたりは、やはりこれだけの価格を設定しているだけあるなと。

ただ大口径ドライバーを搭載している独特の音場感からか、これでガチガチのアニソンなんかを聴くことはあまりおすすめできないです。筆者自身も制作の現場の事情は知らないですが、多分録音の段階で音場表現に乏しい曲だと、たとえマスタリングで手を入れまくっていたとしても残念な曲に聴こえます。そもそも音の鳴り方がガッチガチのJ-POPとかアニソンには合わない音作り。

この辺りはFinal SONOROUS VIなどが割とこういったガチガチの曲も楽しく聴かせるなというのを改めて思ったのですが、MDR-Z7に関してはハウジング内での反響音や通気孔からくる全体の臨場感を活かして聴ける中規模会場のライブ音源とか、そういうので聴くのは良いと思います。むしろそれ限定で良いんじゃないかと。

他の方のレビューにもありましたが、ハウジングが大きいせいかドライバー口径が巨大なせいか、はたまた両方か、残響感が結構ありますね。これがおかしく聞こえる曲には少し不自然さが生まれたりという場合はあるので、多分この辺りのふくよかさを楽しめるかどうかがMDR-Z7のポイントになってくるような気がします。

beyerdynamicの上位オープン型ヘッドフォンのような、カチッとキレのあるモニターライクな音を鳴らすタイプが好きな方にとっては、あんまり好まれない音かもしれません(ちなみに筆者はこれくらいウォームなサウンドも両方楽しみたいタイプ)。

それくらいSONYぽさが出ている音な気がしますし、MDR-1AMDR-Z7MDR-Z1Rとそれぞれ価格がずいぶん違いますが、同じメーカーが作っている音作りの傾向というのはモロに出てます。なのでbeyerdynamic T5pの方が解像感や粒の細かさは分かり易く感じることができますが、低域量と合わせた空気感というのはMDR-Z7の方が上に感じるので、まあこの辺りはどの音楽を聴くかという、もう好みの問題な気がしますけどね…。

個人的には洋楽ロックなどを聴くなら基本はベイヤーなんかで聴きますし、でもギャンギャン弾かないタイプのLive音源などは、録音にもよると思うのですが、MDR-Z7でも聴いて良いかなという印象。

L/R 3.5mm×2のバランス出力について

現在はPHA-3とバランス接続がほぼメインで聴いていますが、これくらいの音場に加えてセパレーションの明瞭さが増すような気はしていますが、まあ気のせいかもしれません。

バランス出力になって色々な部分が変わるはずで。そもそも聞こえ方が違わないという方がおかしいような気もしているので。ただ、バランス出力によってアンバランスで交わっていた部分が少し不自然になった気もしますし、定位がビシッと定まらない曲も多くてアンバランスで聴くこともあり、少し気になります。ここはもう、とりあえず聴いてくれという感じです。

個人的には優秀なポタアンだと思うPHA-3をかませてもこれかという感じはしているので、とてもじゃないですがKIMBER KABLEのバランスケーブルへアップグレードしようとは思いませんでした。(ちなみにKIMBER KABLEも友人宅で聴かせてもらったことがありますが、じゃあよく見ていたレビューのように「めちゃめちゃバケた」というとそんなことは全くなかったです。もちろん個人の感じ方なので、違いがわかるんですけど、これが良い変化なのかは分からないです)

MDR-1Aとの比較など

利用シーンの万能さでいうとMDR-1Aが圧倒的なんですよね。外出先ではとてもMDR-Z7を使おうとは思いませんし、まともに聴くにはPHA-3とバランス接続が必要というところで、室内外両用なら、利便性をとって間違いなくMDR-1A。MDR-Z7は独特のその筐体やドライバーからくる独特の音像感がポイントだと思っていて、正直個人的に聴く曲、ロックとかは聞くのが微妙というか、個人的には合ってない気がしますね。こういうのなら、MDR-1Aの方がよっぽど幸せです。

というわけで、MDR-Z7に関しては値段も下がった今2~3万円台のヘッドフォンを持っていたユーザーのステップアップとしても意外と手を出しやすい価格帯なわけですが、もちろん聴いている音楽の種類や曲によっては、ダウングレードされた感覚に陥る可能性があることはまあどのヘッドフォンでも同じような気はするのですが、好みの問題ですよねもう。この独特の音像感がハマって、もう少し定位がビシッと決まれば良いんですけどね。個人的には長くは使わないかなあ。

購入:SONY MDR-Z7