【レビュー】ATH-MSR7、オーディオテクニカの密閉型ヘッドフォンを試す

audio-technicaのヘッドフォンというのはいくらか購入したことはあったのですが、最近はSONYやbeyerdinamicへ浮気してこれっきしになっていた記憶があります。今回レビューする「ATH-MSR7」も発売時期としてはオーテク40周年の2014年に発売されたモデルなので、色々なところの改善点を考えても、そろそろ後継モデルが出ても良いかなと思っている今日この頃。

おそらく家電量販店などではその価格帯からかSONY MDR-1Aと隣り合わせで展示されてあるのをよく見かけますが、音作りのそれは全く真逆です。つまり2万円前後で製品を探していて、かつMDR-1Aのボワっと広めの低域があまり好みでない方にはMSR7はお勧めできる製品でもあります。

拡張性には乏しいですが、数年MSR7で新モデルを出していないことには多分理由がある、ということで、この辺りをレビューしていこうと思います。

【購入:audio-technica ATH-MSR7



audio-technica ATH-MSR7 レビュー

ATH-MSR7は、2014年にオーディオテクニカ40周年の節目に発売された、密閉型のポータブル・ヘッドフォンです。少し前に発売されたこともあってか現在は2万円前後まで価格が下がっており「エントリーモデルのヘッドフォンでも良い音を聴きたい」という方には、コストパフォーマンスも光るモデル。

まずは本体から見ていくと、ヘッドバンドのアーチは少し高めに弧を描いており、頭上に当たる部分にはクッションが入っています。今回購入したモデルはBK(ブラック)基調のものですが、ハウジング外側にブルーカラーのアクセント。形状はトラディショナルな感覚も持った、典型的な密閉型のポータブルヘッドフォンという印象。

イヤーパッドは立体縫製を採用しており、長時間のリスニングにも疲れないような低反発素材が入っています。購入1発の左右締め付けは強めで、MDR-1Aと比較すると、最初は少し気になるかなというところ。(個人的にはMDR-1A装着時は首と頭の付け根あたりが痛くなるので、そこがないのはMSR7の良さではあります) オーテクの密閉型ヘッドフォンはいつも側圧強めな印象ですが、ATH-MSR7も例外ではありません。

その締め付けの良さからポータブル・ヘッドフォンしては動いていてもズレが少なく、ここはなんとかヘッドバンドを調整して固定するMDR-1Aとは異なる点ですね。個人的なテストの結果では、音漏れもMDR-1Aより若干少ないようです。

ちなみにイヤーパッドは交換可能で、簡単に取り外せます。替えは(左右1組で)「HP-MSR7 BK」「HP-MSR7 BW」が税別2500円でオーテク公式から販売されていますが、Amazon.co.jpから「MSR7 イヤーパッド」などで検索すれば、メーカー純正でないイヤーパッドもいくつか見つかります。

折りたたみはできませんが、アームからハウジングにつながる部分はスイーベル機構となっており、ポータブルのヘッドフォンとしては扱い易いかと思います。ポーチも付属しますし筐体もそこそこに小さいので、用途が外用のみでも、良い遮音性と合わせてガンガン使えるかと。重量は約290gで、ポータブルとしてはまあ普通というか気になるほどの重さではありません。

ケーブルは方だし/着脱式で、また付属ケーブルが3種類あるのも面白いところです。「1.2mリモコンなし」「1.2mリモコン付き(スマートフォン用4極)」「3.0mリモコンなし」となっており、3mのケーブルのみプレーヤー側がストレートプラグになっています。

ですので基本は密閉型のポータブルヘッドフォンですが、オーテクとしては室内での利用も想定していると思われますね。元から付属しているのは良いです。ただ、付属ケーブルは結構に絡まる構造になっており、特にバッグに入れたり取り出したりが多い外出用の1.2mケーブルに関しては、取り回しが良いとは言えません

…一応オーテク公式から「HDC1133/1.2」という純正ケーブルが別売りで発売されており、こちらは使ったことがありませんが、布巻きシースを採用しているとのことで、あまりに気になる方はこちらを検討すると良いかもしれませんね。

ちなみにリケーブルですが、ヘッドフォン側へ接続する端子は3.5mmとなっており、共通になっているのでGND分離化などにはおそらく本体側の改造が必要になってくる可能性があるのと、ヘッドフォン側接続端子の形状もあるので、リケーブルで安心なのはやはり「HDC1133/1.2」でしょうか。ATH-MSR7は多くの家電量販店で置いてあるかと思うので、気になる方は家電屋でチェックしておくと良いと思います。…MDR-1Aと比較するとケーブル単体での拡張性というか楽しみは少し限定されるかもしれません。

さて、本体内部にはφ45mmの「”トゥルー・モーション” ハイレゾオーディオドライバー」が採用されています。高駆動設計ダイアフラムにボビン巻きショートコイル、音域調整のデュアル・アコースティックレジスター、音の歪みを抑えるトップマウントPCB方式を採用しているのだとか。まあ中を開けたことがないのでなんとも言えません。

その他スペックですが、音圧レベルが100dB/mW、周波数帯域が5~40kHz、インピーダンスが35Ω。基本的にはスマホやエントリーモデルのDAPでも楽しめるように作られていますね。その周波数帯域から、(とりあえず)ハイレゾ対応ということにもなります。予算が許すのであれば、もう少しプレーヤーやアンプ側へ奮発しても良いかなとは思います。

ATH-MSR7の音質など

まずはボーカルが分かり易く入ってきます。音の余韻も綺麗に消えていく感触で、中高域にかけて、この価格帯では非常にうまく聴かせてくれるヘッドフォンという印象です。オーテクというと個人的には少しモニターなイメージもあるのですが、やっぱりそこはコンシューマー向けで手軽にハイレゾを楽しめる(一応)ポータブルヘッドフォンということで、リスニング向きに各音域がうまく主張している部分を感じます。

低域に量感はMDR-1Aのようにはなく、他の音域にマスクをかけないような素直な鳴らし方が特徴かと思いますね。ただ素直に鳴り過ぎているか、ベースラインがうねりまくる楽器隊の迫力には少し欠けるような気も。聴き取るには良いけどリスニング用にはもっと下がほんの少し強調されても良いような気はしますね。多分そこがATH-MSR7の良さではあると思うのですが。もっと奥深くまで聴かせてくれよと思う部分が曲目によってはあります。

個人的に聴く曲の多くが洋邦ロックであったりはするので、空気感がボーカルの鮮明さを邪魔しないのは良いところでしょうか。ただすでにいったベースの部分でのうねりだとか、捻ってくるような激しさというのはあまり感じないです。…そういった意味ではスッキリまとめている部分があるかと思うので、ここが良さでもあるかと。

…上記のようなことからSONY MDR-1Aとは反対側に位置するヘッドフォンなのかなと思うのですが、MDR-1Aに関しては中低域にかけて空気感を演出しているところがあって、ただこの部分が「高級機目指しました」感で値段なりのチープさが浮き彫りになる時が時々あります。

ですので、ボーカル音域の聴きやすさだとか、電子音の分かり易さだとか、そういった聴き込みの部分ではMDR-1Aより上の気がしていて、特にMDR-1Aの空気成分というか、演出があまり心地よく感じない音楽を聞いている方にとっては、わりと対極に位置するATH-MSR7が良いと思いますね。特にこの価格帯では、MDR-1Aを聞いて「ん?なんか違うな」と思った方は、とりあえず隣にあるATH-MSR7も聴いてみることをオススメしたいです。

個人的には、ATH-MSR7の方が好きです。

【購入:audio-technica ATH-MSR7