【レビュー】Massdrop × AKG K7XX Red Editionを聴く

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Massdropといえばコミュニティコマースサイトでオーディオ製品が充実していたりしますが、今回開放型のヘッドフォン「AKG K7XX Red Edition」を購入したのでレビューしてみたいと思います。

AKG K7XXシリーズはすでに発売されていたK702 65th Anniversary Editionをベースに開発されたモデルで、低域だけ若干持ち上げられたチューニングが特徴のモデル。音質としてはAKGから発売されているオープンバック・リファレンスシリーズK700系統のシリーズをMassdropの力によって安くしたモデルで、音質的には基本AKGのそれです。

K7XX自体は一度Massdropで目玉商品として登場し、最近また復活したりしています。価格が199.99USドル(米国外への発送はプラスα)とK702シリーズの発売時価格と比較すると激安で買えるのが特徴なのですが、しばらく聴いたところで、レビューしていきます。



AKG K7XX Red Edition、Massdrop限定モデル レビュー

今回レビューする「AKG K7XX Red Edition」は、Massdropコラボで登場した限定ヘッドフォン。ブラックとレッドがあるのですが、今回はレッドを購入しました。

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(Massdrop × AKG K7XX Red Edition)

Massdrop(マスドロップ)は所謂「Community-Driven」のEコマースサイトで、ユーザーが希望した製品などをMassdrop運営側がメーカーに掛け合ったりして、成立すれば独自にコラボした商品が販売されます。他のガジェット類も多いですがオーディオ製品が特に多く、オリジナルモデルとは違いアジアで生産したりすることでがっつり価格を下げた商品が登場するのが特徴。

そうして生まれた限定モデルなどは価格が安いにもかかわらすコストカットをしただけでオリジナルヘッドフォン・イヤホン同様に音質が良いので、そういった限定製品を「とにかく安く買える」というのがMassdropのメリットだったりします。購入希望者が多かったりすると、ものによりますがさらに安くなったりするシステムです。

米国のサイトですが、日本へも発送対応している商品もいくつかあります(発送に対応していなくても、米国から日本へ送ってくれるサービスなどを別途利用すれば行けたりもしますね)。

で、オーディオ関連では大手メーカーとコラボレーションしたモデルが時々登場します。有名なのが「Massdrop × Sennheiser HD6XX(HD650ベース)」「FOSTEX TH-X00」「HIFIMAN HE4XX 平面駆動型ヘッドフォン」などがありますが、「AKG K7XX」もその一つ(Massdropというと販売は限定数で締め切るのですが、こういった人気の限定モデルは再販されたりも)。

そのためこういった大手メーカーのコラボモデルかつ人気のあるモデルはDropが再度行われることもありプレミアム感は製品によってなかったりするのですが、とにかく通常販売価格で買うよりも安いので、YouTubeでは動画レビューなんかもよくみますね。

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そして今回レビューしていく「AKG K7XX」に関しては、以前発売された「AKG K702 65th Anniversary Edition」K702シリーズから65周年記念に発売されたモデルがベースになっています。実はK7XXもこのK702 65thと同じダイナミックドライバー技術を採用しており、音質的には妥協なし。メーカー正規コラボの製品ですから、当然といえば当然なのですが。

少し異なる点といえば、低域が3dBほど盛られている部分だそうです。K702 65thは視聴したことがあるのみなので弱ウォーム系でHD650などよりは低域の量感は少ないという印象でしたが、3dB盛りということで、少し楽しいリスニング寄りのサウンドになっていると勝手に解釈しています。

当然Massdropコラボで限定モデルですが「安く」というところに焦点を当てているので「Made in China」、つまり中国生産だったりします。今はわかりませんが発売当初はベースモデルのAKG K702 65thがオーストリア製であったりしたので、コストカットの部分は色々とMassdropやHead-fiコミュニティ内、YouTubeの動画レビューなどでも話題になったりします。

本体にはMassdropロゴがあり、逆側にはシリアルナンバーが記載されています。ヘッドバンド部分には「Made in China」のシールが貼ってあるのですが、これははがせます(今はMade in Chinaも質が相当高いので、もう気にしなくなってます)。

海外からの直購入ですし安いので保証もあまり気にしていなかったのですが、Massdropの公式サイトをみてみると、一応対象製品は1年保証で、今回のAKG K7XXに関してはAKGによる2年の保証があるそうです。もちろん日本からの購入は海外ユーザーという扱いになるかと思うので、そこまで期待していないのですが、故障したら送れば直してくれるかもしれません。

K702 65thがベースということで筐体はそっくり。全体的なプラスチック感は否めませんが、ヘッドバンドにコブなしのAKG K702シリーズそのもの。ケーブルは着脱式になっています。バランス化には中を解体して改造が必要かと思うので、ちょっとハードルは高そうですね。そこまでいじる気力は筆者にはありません。

(K7XXはコブなしのヘッドバンドを採用。)

(着脱可能なケーブル。3mのものが1本だけなので、オープン型ということを考えても完全に自宅利用ですね。)

付属品はK7XX本体、ケーブル、6.3mmジャック用アダプターのみ。かなりシンプルです。こういった部分もパッケージをできるだけ簡素にしてコストカットをしている部分がうかがえます。この場合はまあ安ければ良いですから、特に気になるところではありません。

(箱も安っぽい。Massdrop限定の低価格モデルというと、コストカットの部分はこういうところにも出ているような、出ていないような)

今回はRed Editionを購入したのですが、今思えばBlackのLimited Editionでも良かったかなと思いました。Massdropでは「ブラック統一」みたいなカラーが人気があるのかなと勝手に思っていて、例えば以前はNoble Audioとのコラボで「Noble X」がブラックカラーで登場しましたし、逆に黒一色の方が良さそうです。もちろん好みで。

(K7XX Limited Red Editionの文字が。ぶっちゃけ、ブラックにしておくべきでした。)

AKG 702シリーズがベースということで、ヘッドバンドは自動アジャストのエラスティックなあれです。毎回スライダーを調整する必要がないのは、Sennheiser HD600やHD650と比較して良いところでしょうか。その分ギターやドラムの練習で激しい動きをした時なんかには、セルフアジャストではないスライダー式の方が良かったりしますが、この辺りはケースバイケースです。

(エラスティックのセルフアジャスト機能は長時間の装着に非常に快適ですが、激しい動きを伴うバンドの練習とかには向いてないと思います)

イヤーパッドは大型の円形でAKGのそれ。ベロア系のイヤーパッドが採用されています。個人的には長時間の利用ではAKGのヘッドフォンの方がゼンハイザーのあれより良いと感じていますが、AKG K7XXでもそれは同じでした。

(開けてみました)

追記:筆者はメガネを使うことも多いのですが、sennheiserのヘッドフォンと比較すると、このタイプの形状のAKGヘッドフォンの方が楽ですね。

スペック・主な仕様など

  • ブランド:AKG(アーカーゲー)
  • 開放型ヘッドフォン
  • カラー:ルビーレッド(RAL 3003)
  • プリセレクテッド・ダイナミック・トランデューサー
  • フラットワイヤー・ボイスコイル
  • バリモーション・2レイヤー・ダイアフラム
  • 再生周波数帯域:10-39,800Hz
  • 感度:105 bB / V
  • 最大許容入力:200mV
  • インピーダンス:62Ω
  • ジェニュイン・レザーヘッドバンド
  • メモリフォーム・イヤーパッド(ベロアカバー)
  • 3mストレートケーブル(3.5mmヘッドフォンジャック)、6.3mmジャックアダプター
  • 235g

音質や他機種との比較

手元にsennheiser HD650(MassdropのHD6XXはHD650がベースになっているので、間接的にはHD6xxとの比較にもなりますが)があるので、こちらと比較してみます。

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(HD650)

AKG K7XX自体は若干暖色系のウォームなサウンド傾向で、価格が200ドル以下の開放型ヘッドフォンと考えるとかなりのコストパフォーマンスに感じます。個人的には(モデルにもよりますが)beyerdynamicがキレ・上下の改造度重視、sennheiser HD600/650が低域の量感によりフォーカスしたヘッドフォンと感じているので、その中間くらいですかね。フラットな特性を感じつつ、例えばbeyerdynamic T90と比較するとK7XXは上も下もキレ重視で伸びる感じはありません。HD650と比較すると低域の主張は抑えめで、バランスが良いなあという印象。それでも低域に若干盛りがあるせいかリスニング用にも(意外と)行けますし、ウォームな傾向も合わせてイージーリスニングで長時間聴いていて疲れませんし、全体的なバランスは良いのでリファレンス用の作業用ヘッドフォンとしても十分使える万能型な気が。

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(ベイヤーダイナミックT90)

こうして比較してみると、sennheiser HD650はあらためて解像度を保ちつつも低域の量感と空気感がすごいヘッドフォンだなと思うところがあり、そこからきたであろう立体感もHD650の方が高いです。ウォームさも個人的にはHD650の方が強いと思っており、アコースティックな曲をリスニング用に聞く分に関しては、HD650の方が深みがありますし楽しいです。

対してAKG K7XXというともう少しリファレンス寄りの傾向に感じていて、例えばHD650の低域量感が他の音域を邪魔するような不快さは感じず、多分リスニング用に1つヘッドフォンを選べと言われればHD650を選ぶのですが、「室内利用のヘッドフォンを1つだけ選べ」と言われたら、個人的にはAKG K7XXを選ぶような気がします。リスニング向けの楽しさには少し欠けますが、長時間作業用に利用するにはK7XXの方が快適ですし、何よりしつこさがないので。ですので多用途に使用するならK7XXを手に取りますし、JAZZなんかを聴くなら断然HD650かなあと。

シリーズやモデルによっても当然違いがありますがK702系統シリーズとHD600系統シリーズで比較するなら今までも同じような感覚で、K7XXとの比較でも、濃厚なHD650に対してK7XXは軽めの印象を受けました。

AKG K7XXを購入してみて

まずはRed Editionよりブラックにすれば良かったと後継の念が1つ。全体的なサウンドとしては若干暖色系で、HD600系統と比較すると抑えめの低域量。バランスのよさが光るヘッドフォンだと思います。

実は最近Massdropから「HIFIMAN HE4XX」を購入したので思い出したように同じMassdropコラボのAKG K7XXのレビューをとりあえず書いたのですが、HE4XXが届いたらそちらとも比較してみようかななんて思ってます。